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DATE: 2010/03/08(月)   CATEGORY: 未分類
彼方の旅行記。
―世界は広い。世界は果てしない。世界は優しい。世界は残酷。世界は、

ガコッ、という音がとある駅で小さく響いた。見れば、女性が引いていた移動式のトランクの車輪部分が排水口のフィルターに嵌ったらしかった。だがこの女性は不思議な事に、移動式のトランクとは別に茶色のトランクを手に持っている。あっちが貴重品様といった所だろうか。

駅はこの街では一番大きなものでガラス張りの内部は未来的だった。今日はその開通記念日で、自分は晴れてこの駅の駅員になれた。それはもう血反吐を吐きたくなるくらいの試験をパスして。

その為、今は気分が良かった、そう偽善と言われそうな人助けをしたくなるくらいに。

「Werden Sie jetzt mit Wetter helfen?(今日和、手伝いましょうか?)」
声をかけると、女性はどうやらアジア系だったらしく言葉が通じただろうかと思った。その予感は見事に的中したらしく女性は首を傾げている。

どうしようか、と思っていると女性は茶色のトランクを置いて、移動式様のトランクの車輪を器用にフィルターから出した。そして、茶色のトランクを持ってすたすたと歩き始める。

偽善を見事に捨てられた瞬間だった。

「ぶわははっはははは!!」
そんな馬鹿笑いが響いたのは夜になって同僚と夕食を食べに行って暫らくの事だった。

「じゃあなんだ、お前は見事に捨てられたのか!悲しいな、笑って良いか?」
「少しはコイツの寂しさを分かってやれよ、メトン。コイツだって俺たちに話したら・・馬鹿笑い・・されることくらい・・くくっ」
ビールとソーセージというこの国ならではの食事が並ぶ中、同僚である二人は笑う。いいさ、こいつ等に話せばこうなる事くらい分かってた!

「それにしても、お前はこっちじゃ放って置かない女性は居ないのに、アジア系からすればお前は駄目だったのか?」
「知るか」
「メトン、あまり怒らせるなよ。」
「でもノヴェ、俺はそのアジアの女性にあってみたいよ、でもってその捨てられた瞬間を再現してもらいたいね。」
「最悪だな、メトン」
「ダンケ!最高の褒め言葉じゃないか!」
そう言ってぐいぐいとビールを飲むメトンと、ジャガイモとブロッコリーの温野菜を食べるノヴェ。それに負けじと、俺もソーセージにかぶりつこうとした。

カラン、と店のドアが開き入ってきたのは昼のアジア系の女性だった。
ぽとり、と俺はフォークからソーセージを落とした。そんな反応を見て取ってか、メトンとノヴェも俺の視線を追い話し掛けてきた。
「おいおい、もしかしてあの人がそうなのか?」
「・・・間違いない、」
「よしっ、声をかけてこよう!」
俺はあまりの衝撃に追いつけておらず、メトンが何を言っているのかも理解していなかった。

「メトンが行ってしまったけど良いのか?」
確認するようなノヴェの声で俺は現実へと戻った。はっとして、扉を見るとアジア系の女性と馴染みの店主、そしてメトンが話し込んでいた。慌ててそちらへ向かうと、どうやら話し込んでいるのは店主とメトンの二人のようだった。女性は首を傾げている。

「おい、メトン」
「なんだ?」
「その人はドイツ語は話せない。」
「なら、英語か・・あー、Where did you come?」
すると、女性ははたりとしてfrom japanと答えた。

「なるほど、日本!富士山、腹きりの国か!」
「じゃあ、メトン、お前さん方の席に一緒でいいんだろ?」
馴染みの店主はとんでもないことを行っている。

「ああ、俺とノヴェは英語少し位なら話せるし。」
「ちょ、待て、メトン」
「・・・・?」
女性は首を傾げている、ただならぬ雰囲気を感じ取ったんだろう。

「彼女は一人で食事する為に来てるんだぞ。」
「だが、ドイツ語はサッパリだし、俺たちが居れば説明も出来るじゃないか。」
「そう言う問題じゃ、」
「ちょっと待て・・If it is good, will you accompany it?Can , German be spoken the encounter?」
「・・If it is English, it is possible to speak though German cannot be spoken. Please let me invite it by all means if you can explain the menu in English for you. ]
「よし、決まりだ!」
メトンは女性に手を差し伸べる。女性は一瞬きょとりとしたが握手と分かったために手を差し伸べ、握手をした。こういうところはこいつのすごい所である。国境は関係ないんだといわんばかりのところが。

そういって彼女の手元を見る。茶色のトランクが握られている。やっぱり貴重品入れなのだろうか。

ノヴェがビックリしたように女性とメトンそして俺を見た。
「どうなってるんだ?」
「・・メトンに聞いてくれ。」
「一緒に飯を食うことになった、拒否は認めないぜ。」
「別にこっちはかまわないが、こいつは居た堪れないぞ?」
「それも兼ねて話せばいいじゃないか。あ、英語は話せるらしいから英語で。」
「了解」
ノヴェはじゃがいもと空豆のキッシュをもぐりと飲み込みそう言った。

女性は何処に座ればいいんだろうと言う表情をしていたので、隣りの椅子を引いて椅子を軽めに叩くと、女性はそこへ座る。どうやらジェスチャーでも意外にいけるらしい。トランクは左、俺の右に置かれた。

「で、名前とか聞いたのか?」
「あ、聞いてない。」
「メトン、・・・My name is called nove.You?」
「Nice to meet you nove.My name is kanata.」
「カナタ?」
思わず復唱すると女性はこくりと頷いた。するとメトンが女性に向かって話し出す。

「My name Meton and here・・Ein」
「Nice to meet you Meton and Ein」
俺とノヴェに向かって手が差し伸べられ握手をした、メトンは先程握手したための考慮だろう。

そして彼女の目がノヴェが食べていたキッシュに向けられている事に気づいた。一切れ切って更に持って渡すとカナタはきょとりとしてこちらを見た。

「May I eat though it is the one for which you were asking?」
「If it is possible to pay only for the fellow to have eaten, it is good in it later. 」
そう言うと、彼女はしばし考え込んでか、ダンケ、と返した。何故そこだけドイツ語なんだ。

Re;It appears in other side and Germany.
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DATE: 2010/02/14(日)   CATEGORY: 未分類
墨鯉。
ひよ、ひよ、ひよ、と鳴き声が木魂する。

目端に鮮やかな黄色の毛色をして、二本足で立つ小さなひよこが居た。姿かたちはとても愛らしい。

しかし、この場合数が問題であった。

うようよと居る。夏の海のくらげのように。愛らしい鳴き声はいつの間にか、びよびよと、恐ろしい鳴き声に変化しつつある。

「なに、これ・・」
手をついている部分さえもが黄色い絨毯の様で、もぞもぞと波を打つように動く。

怖い。けど、逃げ方が分からない。そもそも此処は、

「何処なの。」
そう言って、自分の姿を見ると寝巻き姿だった。

「・・夢、夢よね、お願いだから、夢で、おきて、起きて私・・!」
必死に頭を抱えて呪文のように言ったけど、意味は無かった。

どうやったら起きれるのか、今までそんなこと考えた事も無かったのに。

ひよ、と目の前で小さなひよこが鳴いた。何かに摘まれ持ち上げられて。

「え?」
「起きたい?」
いつの間にか、人が居た。ひよこを器用に一匹掴み上げ掌に乗せている。

「誰、ですか・・・?」
泣きそうな声で言った声は自分で分かるほど掠れていた。

「バク。」
単語がぽんと出た。

「バク、って動物の・・?」
「いいや、”夢を喰らう獏”さ。ここは、君の夢。そして、このひよこ達はね、君の積もりに積もった、”嫉妬”さ。」
「私の、嫉妬・・?」
「小さな、嫉妬をたくさんたくさん抱え込んで詰め込んだ結果がこれだよ。」

ひよ、ひよ、びよ、びよ。私は唖然として、それらを見た。

「彼らを喰うのは容易いけど、僕は君以上に、このひよこたちの声を聞いてる。」
「え?」
「頼むから、僕を眠らせてくれ、安らかに、何の邪魔もしないで。この約束を守れるなら、君のその、夢喰って上げよう。」
懇願するように目の前の人は言う。私は混乱した。どうして、私が悪いように言うのだろう。

「まるで自分が何をしたんだという顔をしているね。」
「・・だって、私は何も、」
「違う」
「!」
「君達は何時だってそうだ。自分は何も悪くない、とこぞって言う。けどね、僕にとっては、それだけで充分害があるんだ。考えてみくれよ、ひよこが毎日毎日枕の側でひよひよひよひよ、鳴いているんだ。ゆっくり寝られやしない。だから、今日は老体に鞭打って色んな所を探してた。」
「何で・・」

「寝たいから。それで、公園で君を見つけた。で、守れる?」
「どうすれば、見ないように出来るんですか・・」
「”嫉妬”の感情を認めればいい。」
「無くす、とかじゃないんですか。」
「出来るのか?」
「うっ!」
出来ないから、認める。認めたくないから、無くす。そんな感情のリサイクル。

「努力はしてみるのは良いけど、無理なら、認めることをすればいい。分かった?」
「・・、はい。」
ひよ、と自分の頭の上で鳴き声が聞こえる。認めれなかった、自分の、気持ち。

「・・ごめんね。」
ぽつりと言った言葉自体私が私に向けた最後の謝罪だろう。


「通り堂さん」
「なんだ?」
「珍しく、玖場さんが居ないんですね。」
「何か朝早くから出かけていった。」
「へー・・・、今日の晩飯って何ですか。」
「鶏の料理が良いとか、言ってたからな・・、煮物にしようかと思う。」
「煮物かあ・・、じゃあみかん食べよ。」
「どういうつながりだよ。」
「腹ごなしには丁度いい、って感じですかね。それにしても、鶏かあ・・きっと夢が鶏だったんでしょうね。」
「・・たまったもんじゃないな。」

Re;The autumn sky is such a hue.
DATE: 2010/01/31(日)   CATEGORY: 未分類
カメレオンバブル。
世界は驚くほどに無機質で。

世界は嬉しい位に無言で。

世界は冷たい位に無関心で。

結局、世界ってなんだよ、って話になるだろう。

うん?

今回の現代文の平均点が上がり過ぎだって?

いや、それは知らないよ。皆勉強してたんじゃないの?

え、何?

現代文なんて勉強しようが無いって?諦めるなよ。勉強のしようがあるから平均点が上がったんじゃないのかい?

何・・?俺が頑張ってたか?いや・・うん、なんだ、その、やってなかったような、やってたような・・。

大人だったらしっかりしろ?さっきのペラペラ喋る奴は何処へ行ったって?

嫌だな、大人だからってっていう区別は駄目だよ。君だっていずれ大人になるのに、言われたかないだろう。

だったら現代文の平均点は何故上がったか答えろ?

・・、何でだろう・・。

Re;it's you didn't study then.
DATE: 2009/06/26(金)   CATEGORY: 未分類
貴方に捧げたバロック。
―楽譜にかかれたメロディを満遍なく弾いてみたら何故だか音が一つ抜けた。

がりがりとテノーラは一人残され彼にとっては珍しいぐらいに店に居て、コーヒー豆を挽いていた。

というより、テノーラが店にいること自体が珍しくありえないことなのだ。そのため、彼自身何をやろうか迷った挙句でコーヒー豆を挽いている。

ガチャリとドアノブの音がしたかと思うと軽やかにイヴが入ってきたその次にアーサーとやけにボコボコな状態の男。どこかで見た事があったような気がして首をかしげた。

「テノーラ、氷とタオルに、救急箱を貸してくれ」
アーサーが肩を貸していた男を椅子に座らせると、自分もドカリと座り序でに冷たい飲み物をくれと催促した。

「・・ああ、じゃあイヴ救急箱とタオル取ってきてくれ」
返事の代わりに身軽な足音がするのを聞いて、飲み物を用意し始めた。

「アーサーさんそちらは?どっかで見たことあるんですが」
「あ?ああ、ルーだよ。ルー。」
「ルー?」
短い名前を反復していると、男は何かを喋ろうとしたが口が切れているようで机に突っ伏した。

「”蜂探し”のシャルロットのところの若頭だよ」
アーサーが渡した飲み物を勢いよく飲み干してそう云った。

「・・ああ、シャルロットの爺の・・、ってそれじゃあのルーなんですか?本当に?」
自分の記憶にあるのは、何年か前の小生意気そうな面だが随分と大きくなったと感心深げに見ていると

「なんですか・・」 
ようやく痛みから解放されたルーは睨みつけながらそう言った。

「・・・可愛げが一切失われたなあ」
「そんなもの”蜂探し”に必要な―」
ルーが言いかけた瞬間べちっとアーサーが己の掌で軽くルーの頬を叩いた。

「アーサーさんルー口ン中切れてるのにそれは駄目ですって」
また机に突っ伏して声を上げずうめいているルーを見ながらある事を思い出した。
そういや、ルーの天敵は

「持って来ましたよ、タオルと救急箱」
イヴがこちらにタオルを渡して救急箱を手の抱えたままルーの元へといく。

そしてその光景を見ているとアーサーが飲み干したグラスを持ってきてポツリと呟く。
「中々シュールな光景だな」
「何がです?」
「ルーが何で怪我してると思う?」
そういえばそうだ。というか、寧ろ何でイヴとアーサーは彼を店につれてきたのか。財布を返しにいっただけじゃないのか。

「・・・・・あれ?」 自分の頭の中で何かが可笑しいと言っている。

「気付いたか?」
「いいえ、何か判ったような気もするんですけど」
「ソプラネッタに一回診察するよう頼もうか」
「結構。で答えは何なんです?」
氷を袋に詰めながら尋ねるとアーサーは豪快なほどにいい笑顔を作ってこう答えた。

「イヴがさっきぼっこぼっこにしてきたのは”蜂探し”のルーたちだったんだよ!あっはははは!!」

ああ、そういえば、ルーの天敵はこの暴君だった。
笑う暴君の後ろで視線で人を殺せそうなくらいにルーはアーサーを睨んでいた。

笑う暴君は誰にも止められ・・・・・・・ない?

Re;king of the king  ((王様の中の王様。
DATE: 2009/06/05(金)   CATEGORY: 未分類
つりあわないもの同士。
二人の男たちが心配そっちのけで、最近の舞台の話やら片方の男の妻の話やら俳優の話やら妻の話やらに少なくとも花を咲かせていると間伸びたカロベルの音が鳴りそちらを反射的に向くと、噂の女性―イヴが入ってきた。

「おお、無事だったかイヴ」
アーサーが心配のしの字もない明るい声でそう言うとイヴはテノーラへ持っていた何かを渡しながら

「無事も何も私は注文の品を届けに言っただけですよ?アーサーさん」
「まあ、そりゃあそうだが。念のために聞いとくが危ない目にあわなかったのか?」
アーサーが少しいぶかしむような表情で尋ねたがイヴはそのまま

「何も?強いて言うなら―」
「言うなら?」 テノーラが渡された何かに首を傾げなら尋ねる。

「食器割れてないと良いんですけど」
「イヴこの財布は一体誰のなんだ?お前のじゃないだろう?」
テノーラが耐えかねてイヴに尋ねると、イヴは、ああそうでしたと言いながら説明する。

「お金を頂こうとしたら、仲間にならないか?と誘われたのでお断りしたんですけど、何故だか発砲されちゃったので避けて、眠らせて、とりあえず財布だけ頂いてきたんです」
さらりと、彼女の空白の時間をイヴは説明し終わると近場に在った水をのんだ。

「・・・・・一寸待て、おいイヴお前何か今物騒な言葉が飛んだ気がするぞ」
「というか、飛びましたね。発砲だの、眠らせただの、仲間にならないかだの」

「ちゃんと断りましたよ?こっちが私の仕事なんですから」
「いやそれは嬉しいんだが」
テノーラはとりあえず財布からランチの値段を取り、財布をイヴに渡した。

「テノーラ、おいちょっとまてそれをイヴに渡してどうする?!」
アーサーがテノーラの行動に驚いて思わず叫ぶ。

「いや・・・だってこのままじゃイヴは窃盗ですし、今その人たち寝てるんだろ?」
「ええ、ぐっすりと」
「なら、今のうちに返して領収書をおいときゃ問題ないんじゃないかなと」
「そう云う問題じゃない!万が一にでも起きてたらどうする!イヴだって万能じゃないんだぞ!?」
「じゃあアーサーさん、ついていってあげてくださいよ」
「何でそうなる?!」
「アーサーさん一応強いですし、それに暴君だけど国王だし、俺もう疲れたし」

「そっちが本音か、テノーラ!!」
「別に行かなくてもいいですよ、アーサーさん。どうぞ趣味の話に花を咲かせて置いてください、隠遁生活の如く。」
「そこまで言われて行けない訳があるか!行くぞ畜生!」
「イヴ、財布と領収書!」

Re:A high-quality wallet and sacred woman.
DATE: 2009/05/29(金)   CATEGORY: 未分類
365日と2/1の夕暮れ街。
―貴方に出会えたこと、それで私の幸せは尽きたけどそれで私は満足でした。

何かが産まれる瞬間は酷く呆気なかった。

かくいう自分もそうだったと思っている。必然の上に生まれ、必然の上に在るのだと。

自分を見える騎士と出会ったのは産まれてすぐの事で、出会ったときから騎士はめそめそと泣いていた。毎日毎日あきもせずに泣いていた。

しかし自分にはその騎士が何が悲しいのか、尋ねる言葉が無かった。

意思疎通が取れるようになるにはしばらく時間が掛かったが、それでも彼の泣き虫があの一件まで終わる事はなかった。

そして、おそらく彼をとどめで変えたのはこの国を治める暴君の気質だろうか―

「それにしても、ウィリアム以外には見えないってのも難儀だよなあ」
彼は何処かへ行く予定だったのではと最初はそんな疑問が出てきたが、今は消え去った。

質問に首を横に振ると、「そうなのか?」と尋ねられ、縦に頷く。

「そうか。互いの意見が0から10まできっかり合うなんてことは結構ないことだし、別に構わない。10人居れば10人分の意見が出る。だからそれでいい」

もしかすると、彼は懐が大きいのかもしれないと思いながら暴君の話を聞く。

「それにだ、統一するなんて無理な話だ。周囲を見ればそれが良く分かる」
何故だか、苦虫を噛み潰したような顔をして言う。だれを思い出したのだろう。

「自分の人生の主役は自分だ。物語も、俳優も、場所も、時代も、なにもかもが自分でやらなきゃならない。だからこそ、無駄に出来ない。後悔なんて二文字俺が王で居る限りこの国の奴等に使わせてたまるもんか」

ぴたりと止まり暴君を見る。白レンガの家の後ろから差し込むオレンジ色の夕日が暴君をたたえていた。

暴君がこちらを見遣り外套を被っている頭に手を置いた。

「勿論、お前にもだ夜。お前という名前の主人公と人生という名の物語を、楽しめ!」

にかりと笑う暴君を見て、ああなんて恐ろしい人なんだろうと自分は思った。

たった、一瞬で、いや、一瞬という時間よりも、少なく、こんなに、容易く、人を、救うんだろう。

自分は、夜。産まれた理由は知らない。今ここにある理由も知らない。

けれど何も無かった自分に名前をくれた泣き虫な騎士と人生を楽しむ権利を暴君が教えてくれた。

―ああ、素晴らしき この 世界。

Re:night of world
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