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DATE: 2008/11/30(日)   CATEGORY: 未分類
閑話。
コツリ、と店内の床を踏みしめて彼は歩いていた。
そして、約束していた場所の席に座る女性はぼんやり眼に髪先が緩く巻かれた髪の女性で。
ゆったり、と目があって彼は挨拶した。

「こんにちは、今日はどうぞ宜しくお願いします。」
「こんにちは、こちらこそ宜しくお願い致します。」

「さっそくで申し訳ないのですが、インタビューを開始させてもらっても?」
「どうぞ、」と彼女は短く言った。そして、手元のカップを取り飲む。

「では、先日発売された『トラブルトークショー』の売上が未だに伸びていますがやはり作者としてはどんな心境でしょうか?」

「・・そうですね、共感できたという方が沢山いらっしゃる事を嬉しく思います」

「ほぉほぉ、ではこの『トラブルトークショー』は実話を元にされたと聞いていますが?」
「ええ、少しばかり人物などはすり替えてはいますが・・」

「では次です、先生が書かれた以前の作品もこの本が売上を伸ばした事を機に読者の方が購入されていると聞いています。そこで、アンケートを購読者の方にして頂きました。」

そうなんですか、と女性は相槌を打って新聞記者を見た。相変わらずぼんやり眼だ。

「・・結果だけ述べさせていただくと、皆さん同じイメージを持っていらっしゃいますね。というか先生のかかれる作品自体にそれがあるようで」

「そのまま作品の世界に入り込んだようだ、と。―これは作者冥利に尽きるんじゃありませんか?何しろ本っていうのは感情移入がモノをいいますし、これが出来なけりゃ本の物語は楽しめない。」

「・・・そうでしょうか?寧ろ私は、本という一つの舞台に観客―ここで言えば読者が足を運ぶんだと思います。舞台の作品が良いか悪いかなんて、個人の趣味です、自分の感じた印象を他人に押し付けるなんて傲慢ですわ。
その舞台が面白くないと思えば、面白くないでいいんです。それにいい話というのは、感動してもらうことも大切ですが・・貶される事も必要だと思います。」

ほお、そりゃあまたどうして?と新聞記者は短く言った。

「貶すという事はよっぽど読み込んでいなければ出来ない事です。つまりそれほど自分の作品を読み込んでくれた、ということですから。」
にこり、と女性は微笑み―そこでインタビューは終わった。
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DATE: 2008/11/29(土)   CATEGORY: 未分類
胡蝶の見る夢。
―不可思議な夢を見た。あなたと共に、笑いあいながら喋る夢。永遠に叶う事の無い、胡蝶の夢。

『・・・・どうしてッ・・あの地獄の世界を・・?!』
プロテクトは冷気を纏いながらもそう云った。

『種も仕掛けもあるマジックさ。まぁ・・俺は手品師でも詐欺師でもないけどな。』
そう言って、服にまとわりついた霜を軽く叩いて落とした。

『―さてこれから俺は「十月」の所へと戻す、そこの・・「記憶」と一緒に。』
俺は、ゆっくりとまだ幼い行方と行方の母親を見てそう云った。

プロテクトはうつむいて、握りこぶしを作っていた。そして・・耐えかねたかのように。

『そんな事・・できるわけが無い・・彼女のもとへ私が戻るなんて出来る訳が無い!いいや、私が私自身を許さない!』
そう叫んで、プロテクトはただ続ける。

『私は彼女の為と言って、現れて「記憶」を思い出すよう言った。無理な事なのに!』

『どういうことだ・・?さっきおまえはそうするのがプロテクトの役割だと。』

俺の言葉を聞いて、悲しそうに顔を歪めプロテクトは後ろの壁にドンッと下がりずるずると座り込んだ。

『「記憶」を持っている持ち主が、「記憶」に会うなんて・・余計混乱させるだけです・・「記憶」は持ち主である人の「生きた証」なんですから・・』

『プロテクトと「記憶」は、謂わば卵のような物なのです。ですが・・中身を忘れてしまえば・・殻などいるはずもない・・私は・・私は・・自分が消えてあの人に・・十月に思い出してもらえぬ事が悲しかった』

『ただ「記憶」よりも「プロテクト」なんて・・良い物にも悪い物にもなる不確定要素を思い出してもらおうなんて・・そんな・・そんな私が・・思い出して・・あの人の「記憶」へと戻るなど・・出来る訳が無い・・出来る訳が無いじゃあありませんか・・』

目羽はそんな哀れなプロテクトを見た。ヒラリ、と羽飾りが揺れた。
『・・・・そんなの・・どうだって良い。』 ポツリと呟いた目羽へとばっとプロテクトは顔をあげた。

『俺が・・俺が「記憶」を戻すのは母さんに思い出して欲しいんだ。行方のお母さんの事も・・それを守ってくれていた「プロテクト」のお前の事も・・だ。』

『だから・・絶対俺はお前を戻す、「記憶」っていう・・曖昧で不確定で、「優しい」モノを』

―ぽたり、どこかで聞いた音を又聞いた。

Re;it becomes your "Memory".
DATE: 2008/11/27(木)   CATEGORY: 未分類
思い出話に浸りましょう。
ぽたり、とあまりも場違いな音がしたのを誰かが聞いた。

『―っ』
声を出したかったけれど、出せなかった。凍てつくような寒さは彼から、目羽から声を奪った。

許されているのは倒れたまま見える周りの光景だけ。

少しだけ、ほんの少しだけ無理をして先ほどプロテクトが居た位置を見ると、壁にもたれかかり、両手で顔を覆って、何かから必死に耐えるように泣いていた。

「―僕らは余りにも曖昧で不確定なんです。」 
ここと似た温度の雪山で出会った「記憶」の欠片はそういっていて。

「―こんな些細な「記憶」をあなたは・・・・有難う・・有難う、行方君」
ここと似た星空の輝きを灯した丘で自分が「記憶」だと言う事を忘れた「記憶」はそういっていて。

―同じ、なんだ。誰よりも、何よりも、「記憶」を持っていった人から忘れて欲しくなどないのに。

―パキッ やや無理をして体を軋ませた。すると、手の部分だけ動けれた。

そして喉を一生懸命、一生懸命、震わせて声を出す。血の味が少しだけした。

―勘違いしていたのは、俺じゃないか。こいつは、ただ、ただ。

チクチク 凍てつくこの世界で一編の狂いさえも見せぬ目羽の時計が

チ  ク  狂いを見せた。

その先でプロテクトは顔を上げコチラを見ていた。何処かそれは安心したような、そんな表情で。

『―永久に埋まるは鎮魂歌。裂いても見えぬ夢の森。―「自己世界」』

母さんに、十月に思い出して欲しいだけじゃないか。

Re:to you when meeting this time
DATE: 2008/11/25(火)   CATEGORY: 店主の宝物庫
マイフェアレディ。
ひとえに言うなら、その光景は想像絶する物であった。

「と、偉人も言っているわ」 と短く答えたのは、髪の毛をゆるく巻いたぼんやり眼の女性だった。

「へぇ・・・じゃあ姉さんは、あえてこの部屋を片付けなかった訳ね?」
譲らない、今日は譲らないって決めてきたのだ。

「そう・・・・まぁただ面倒だったからかもしれないけど。」 ボソリといわないで欲しい、

ゴォ―掃除機の音は、けたたましく自分の姉である部屋の埃とかそんな類の物を吸い込み尚且つ私の決意を再確認させてくれた。

そう、今日はちゃんと譲らないって決めてきたんだから!
いつも負けっぱなしなのだ、この姉には。姉はいつだってぼんやりとした感情が読めない眼をしている。
それに加えて、彼女が眼のようにぼんやりしているか否かといえば違う。それは断じて違う。
寧ろ、頭の回転は速いほうなのだ。だが、それは彼女の性格になんら影響など与えちゃくれない。

「これで・・大体は終わったかな?」

パチパチと後ろで椅子に座らせた姉が拍手をしていた。その膝には茶包みが在った。

「ごくろうさま・・で今日の用事は何だったの?」 

「こういう具合に散らかす姉さんの家の掃除です!」

「そうなんだ、有難う、助かります」とぺこりと頭を下げる。髪の毛もそれに習い下がる。

「・・・・・そう正直に言われると何だかなあ。あっ、後これ貰いに。」と言ってバッグを漁る。

あっ、あったあったといって姉の方向に1冊の本を―差し出した。

「『トラブルトークショー』にサインお願いします、せーんせっ!」
「家族に先生って呼ばれるのは・・微妙かも。・・・・はい」 

「姉さんの本は私好きよ?」 そう云うと、眉に少ししわを寄せて姉は。

「それって、私じゃなくて本だけって意味・・・?」

「どうだろうね?」

Re:ぼんやり眼の女性の妹。

「レイトン教授 最後の時間旅行」 11月27日発売 $5040円   

 ((^p^)=●(゜3゜)―☆

明後日じゃねえか!

色んな意味合いで絶望した。で、明日生物とライティングテスト頑張るどー・・・。。((燃え尽き。
DATE: 2008/11/24(月)   CATEGORY: 未分類
ターン、ターン。
―きみのまうえにあるほそながく、にくにくしいとけいのはりをとめるすべはどこにあるや。

『・・・・あなたが、悪いんです』 ポツリ、と十月のプロテクトはそう呟いた。

心に、横に安らかに眠る女性の「記憶」の持ち主である十月を思い浮かべながら。

自分の意思による「冷気」がその空間を纏い・・そして眼前に倒れている、青年の体温を奪った。

―びゅうびゅう と小さな風を起こして青年の体に当たり容赦無く攻撃する。

『・・「彼」によって狂わされたのは、君も同じか・・』 プロテクトは呟く。

そう、自分が守っている「記憶」の持ち主である十月。
そして、眼前に倒れている青年が捜す「記憶」の持ち主である行方。

両方が、被害者であり恐ろしい物を真上にかざされている人なのだ。

人の記憶は、曖昧で残酷で、優しい。だからこそ、なのか。自分たちのような物が生まれた。

「記憶」を守る為に、と。それこそが自分たちの第一の存在意義。

けれど、それを時に逆手に使い暴れるプロテクトも居る。
何もが従順に「記憶」を守るプロテクトではないのだ。

理性を持ったからには、何も出来ぬ「記憶」を守ってなど居られないのだろう。

だから、思い出してもらわねば成らないのだ。そうなる前にも、そう思ってしまう前にも。

何が、思い出して欲しくなど無い、と思う「記憶」なんてあるだろう。

ドンッ、と何時の間にか壁に寄りかかっていた。ひんやりと冷たい。

こんな些細な「記憶」を守る役になったのが運の尽きなんだろうか。
けれど、この短期間でうまれた「理性」が泣いている。

『思い出して、お願いだから、あなたの「些細な記憶」を、』

ぽたり、と何よりも渇いた冷たい地に泣いた証が落ちた。

Re:huge glass clock.
DATE: 2008/11/22(土)   CATEGORY: 未分類
プロテクトの存在意義。
『プロテクト・・・・だと?!』 ひゅうっと喉が鳴る。
冷気に、あまりにも空気が入っていないからか、と目羽は思った。

行方の「記憶」で何度か見たが、ここまで意識を持っているのは始めてみた気がする。
そして、「力」を振るう事も。

『何も驚く事は無いでしょう。一つも会われていないわけではないのでしょう?』

『会った事が無い訳じゃないが・・・、何でまた自分から接触してきたりするんだ・・・』
ゲホッと咳き込む、まだ冷気は空気を下げ続けているらしい。

『・・・彼女は「失う」ことはしたくないのに忘れているんです。なら、プロテクトとして保護し思い出すように忠告する。
それが―、しがない「記憶」の「末端」の存在意義なんですから』

『存在意義・・・?お前母さんの記憶が何処にあるか分かっているんだろう!教えろ!』
喉が裂けそうなくらいの痛みを持ちながらもそう云った。

『・・あなたじゃあ意味が無いんです。私は彼女の「プロテクト」なんだから、彼女にこの「記憶」を見せないと』

すぅっと、初めて横へと目を移すと其処には廊下に人が眠っていた。
白い服に薄い掛け物を羽織っている、女性と小さな赤ん坊。

『・・なっ!?お前!』
『誤解しないで下さい、彼女は死んでなんか居ませんよ。ただ「記憶」を保存しているんです。』
『保存だと?』
『このままでは危ないんです、私が守るのにも限度がある。そして、限度が超えてしまえば―』

どろり、と彼女の周りが沈んでいく。どぶり、どぶり。

『・・・このように「記憶」の底なし沼に沈みかける・・だから、思い出せといったんです。幾等「彼」がこの「記憶」を連れ去られたと言ってもここにあるのに!』

『・・・・「彼」・・・それは一体何なんだ。母さんの「記憶」を攫おうとした奴・・・は・・ッ』
喋るのもきつくなってきてしまった。

『「彼」はいつでもあなたたちのすぐそばにある存在ですよ・・・そして「ある記憶」に関連するものを攫っていった。あなたとも関係の或る「記憶」』

『俺とも関係のある記憶だと・・?』 

カツン、と歩き女性が抱いていた赤ん坊を抱える。何か言おうとしたがいえないぐらいに寒かった。

『・・・・・この赤ん坊の名前をお教えしましょう。』

『彼の名前は、行方。あなたの「記憶」を無くした友人にして「彼」が連れ去った「記憶」のもとです。』

寒さと共に、絶句した。

Re:after all, no one must talk.
DATE: 2008/11/19(水)   CATEGORY: 未分類
悲しさと寂しさの度合。
―おそろしや、あなおそろしや。

『どうやら「彼女」は、自分の「記憶」をあくまで底なし沼に陥れたい―そういう考えと言う事でよろしいんでしょうか?』

薄暗くなった影から出てきた人影は、悲しいまでの冷気をまとってやってきた。
十中八九、これが母さんの、「十月」の出くわした奴なんだろうと、目羽は思う。
同時に、ろくでもない。と。

『・・あなたは、一体何者ですか?』 更に続けてそう云う。

『俺か、俺はただの待ち伏せだよ、お前のな。色々と聞きたいことがある・・教えてもらおうか?』

ヒラリ―冷気に踊らされて目羽の髪の羽飾りが揺れた。

『こちらの質問に答えられていませんね、どうせ聞きたいことというのは―』
『彼女の「記憶」が何なのかと、「彼」についてでしょう?』

嫌な汗が流れる感覚を目羽は覚えた。

『其処まで知ってるんだったら教えて貰いたいね、こっちも身内の事なだけに放って置けないんだよ。』
どろり、と冷気が体の周りを覆うように纏いついてくる。

『もう一度聞きましょうか、あなたは一体何者です?』

先ほどの答え方をするなら、というような言い方だった。実際冷気は更に下がっている気がする。

『「記憶」を連れ去られた十月は、俺の母さんだ』

そう云うとパリンと後ろで何かが割れた、振り返ると窓ガラスは内側から破壊されていた。冷気によって。
相手の方を振り返ると掌を割れたガラスの方側へと向け立っており下を向いていた。うつむくように。

『・・・・あなたは、彼女の十月の「息子」なのですか・・・・』

『そうだ、だから俺はここに・『とんだ戯言だ。』・・なっ?!』

『私が何なのか、と問われましたね?お答えしましょう。私は十月、あなたの母親の連れ攫われた「記憶」の「プロテクト」であり、「番人」ですよ。』

ニコリ、―その時初めて、その人が浮かべた笑顔はあまりにも凶悪な笑みでした。

Re:degree of dear.
DATE: 2008/11/16(日)   CATEGORY: 未分類
癒え切れぬ残像の捨て方。
―色を失う事は悲しきこと。大切な何かを忘れてしまうのは恐れ多き事。なれば、

チクチク―、時計の音は持ち主が気にならぬ程度に時を刻んだ。

スゥスゥ―、持ち主の呼吸は秒針の刻む音と共に時を刻んでいた。

そして、その二つの持ち主の名前は目羽といった。

『来るか、来ないか・・・どっちに転んでもやっぱり病棟ってのはなぁ・・』

若干彼は、其の場所が不満だった。何しろ、彼の怖いものは幽霊だという。ならば、この場所はまさにおあつらえむきだった。

出るとしても、出ないとしてもだ。

長椅子に座り後ろの窓から外の景色を眺めれば、闇夜と共に深緑色の木や電気の明かりがあった

『・・・予報どおり、空は『星』が綺麗に見えるっと』

景色だけ見ればいい気分のものだ。だが、後ろから予想以上のいや、予想はしていなかったけど。

―冷気が来るまでの話であった。

その冷気に驚いて目羽は周りを見渡すと、左の濃い黒色の影から人影が表れて、こう言った。

『どうやら「彼女」は、自分の「記憶」をあくまで底なし沼に陥れたい―そういう考えと言う事でよろしいんでしょうか?』

ひんやりとした物言い。おっとりとしてコチラをみやる目。そして、冷酷なまでのこの冷気。

―嗚呼、ろくでもない。

Re;ice rose story
DATE: 2008/11/15(土)   CATEGORY: 未分類
嘘吐きの愛。
―有難う、という言葉。さようなら、という言葉。私にとって二つは同意義だった。

『十月さんが・・・、僕と同じ状態?』

目の前に居る唯一の僕の友達の話を聞いて僕はそう言った。

『嗚呼、そうみたいなんだ。どうも話を聞いていると、そんな感じだし・・』

『どうするの?』 僕は聞いてみた。

『母さんの「記憶」が永遠の底なし沼に陥るとか、「彼」とか色々気になることもあるし・・何より』
と、目羽は話を区切らせた。

『お前と、似ているんだよ行方。母さんの「記憶」のなくなり方が。』

『・・・・突然なくなったって事?』

『それもだ。けど、根本的に似ているのは「誰かが二人の記憶」を何らかの意図で持ってったって事』

―どうして、思い出してあげること出来ないんだろう。 

『・・・・・僕達の「記憶」何処に行ったのかな』 ぽつり、と僕はもらす。

悲しそうに、目羽は顔をゆがめて言う。

『試しに、俺今日その病棟まで行ってみようと思うんだ。何か起こるかもしれないし。それに今日は打ってつけたみたいに条件が合うんだ。』

『条件・・って?』

『綺麗な「星空」、さっき母さんがやっと思い出した「記憶」の「欠片」なんだ』

―誰かの悲しみは、誰かの痛みとなり、やがて小さな涙となるんでしょう。

Re:then I knew your love
DATE: 2008/11/14(金)   CATEGORY: 未分類
落し物はなんですか。
頭の中でぐるぐる回る焦燥感と、今でも離れないあの言葉を忘れる方法があるなら、欲しかった。

私は、先ほどあったことを目羽に話し終えた。こんなに、一人でペラペラと話すのも久しぶりかもしれない、と頭の隅では思っていたのだけでど。

『・・・・そういうわけなのだけど、どう思う?』 一刻を争う、そんな気がしていた。

顎に手を当てて、何か考えているようだった。そして、ゆらりと蜃気楼みたいに羽飾りが揺れた。

『母さん、多分だけど・・・・母さんも目羽みたいな事になっているのかもしれない』

『・・・・どういうこと?』 

『「行方」の「記憶」は俺があの夜に見た奴に、散り散りにされた。
多分母さんも、行方みたいに「誰かが」作用してその時出会った「女の人ととの記憶」が出会った奴の言葉を引用するならだけど連れ攫われた。』

『―・・・、行方君と同じ現象・・?』

『そう云うこと、だと思う。けど、イマイチわかんないのはその『彼』が誰なのか。それと、どうして「その時の記憶」だけ連れ去られたのか。』

『・・・・そういえばそうよね、他のでも良かった訳かもしれないし。』

『そう、だからその「記憶」が重要だったんだ。後々、困るような・・何かがあったんだ。』

『・・・・何か、』  

―綺麗ですね、私も  好きなんです。キラキラと色んな輝きがあって、毎日違う、ああ一瞬って大事なんだなあって思わせてくれる  が。

『・・・・・あ、あの時』

『どうした、何か思い出した?』 目羽が、私の顔を覗き込んでいた。

『あの時、あの女の人と一緒に居た時―『星空』が綺麗だった』

Re:translation of memory born.
DATE: 2008/11/11(火)   CATEGORY: 未分類
空白理論。
―誰かが「名」を呼ぶ。それに私は答える。嗚呼、当たり前の光景。それがとてもいとおしい。

誰?私を呼んでいる?誰が?こんな薄情な私を。あのときに出会った些細だけれど、大事な思い出を思い出す事さえも出来ない、そんな・・私を。

『十月さん・・・・・、大丈夫ですか!』 看護婦が私を揺らしていた。彼女の顔は私よりも蒼白だった。

『・・・・・はい・・・?』 何とか返事をする、頭の隅がクラクラとしている。

『ああ、良かった・・!起きられたんですね、何があったんです?具合でも悪くなりましたか?』

―・・・・・何が、あった?そういえば、どうして

『どうして私・・・・ここに居るんでしたっけ?』

『・・・・・・へ?先ほどあったときは用事があると仰っていましたけど・・』
『用事・・・・・・?』

ゆっくりと先ほどの「記憶」が巻き戻しから再生へと・・・された。

『・・・・ッ!そうだ!!あの子!あの・・男の子、一体何処に・・?!』

私はバンッと長椅子から立ち上がるとひゃっ!と看護師は後ろに飛びのく。

『・・・・・男の子?って息子さんじゃなくってですか?』

『目羽?目羽じゃあないわ・・・・あの子どうみたって、目羽よりも年上だったし』

『目羽君よりも年上の子・・・?十月さん、そんな子この病棟には居ませんよ。第一ここは産婦人科の階なんですよ?』

―じゃあ、あの子は。いやそれよりも、彼が最後に言った一言が気になった。

「貴女の「記憶」は「彼」によって連れ攫われてしまったんですよ」

「いい加減思い出さないとあなたの「記憶」―いいえ、思い出したい「何か」が永遠の底なし沼に落ちてしまいますよ」

『・・・・・・私の連れ攫われた「記憶』・・・・あの女の人?』

Re:rewiding
DATE: 2008/11/08(土)   CATEGORY: 未分類
最終警告。
うつろう事を忘れてしまったのは、永久という時間をしってからだった。

『ここよね』と、彼女は一人ごちて周りを見渡した。

白い病棟の何処にでもあるような廊下には、黒色の長椅子があり、そこから少し離れた上には窓がついている。
試しに、十月は椅子に座ってみた。何も起こらなかった。

『・・・・思い出すかな・・・忘れたままなんて、酷いもの・・・ね』

後ろの殻の太陽の日差しに思わず額の辺りに手を持ってきて影を作る。
すると、何時の間にだか目の前には青年が一人居た、顔には微笑みを作って。
『こんにちは』 

『・・・・・こんにちは?誰かを待っているの?』 

『違いますよ、あなたに最終警告をしに来たんです』 にこり、と言う。

『・・警告?私は、あなたと会った事会ったかしら?』 
そう云うと、青年は曖昧に微笑んで、答える。

『先に僕に昔出会ったかどうかですが、答えは、イエスです。昔に1度だけですけど。それと、警告の件ですが・・・・』
そう言って、一歩私に近寄り目をじっと見た。

『貴女が忘れてしまった女性との「記憶」はね、「彼」が連れ去ってしまったんですよ』
にこり、と青年は微笑んだ。

『どういう・・意味・・・?』

『そのままですよ、あなたの「記憶」は彼に攫われた・・・・いい加減思い出したほうが良いですよ。』
目線を窓へと、移しながら。

『でないと、あなたの「記憶」が―いいえ、思い出したい「何か」が永遠の底なし沼に落ちてしまいますよ』

『・・・・あなた一体・・・』 

『あなたが思い出すときに分かりますよ、それではサヨナラです。』

ヒラリ、と私の目の前で彼の掌がゆっくりと、過ぎ去る。そんな動作で私は意識を手放した。

Re:you who forgets are bad.
DATE: 2008/11/07(金)   CATEGORY: 未分類
言葉にはできぬ。
―不見、不聴、不云。それはつまりで、この世の終わりと心得たり。

思い出せないなんて、一度も無かった。

小さなことだって、覚えていて忘れるなんてありえなかったのだ。

そう彼女、十月は。彼女がいつも病院で入退院を繰り返している理由は「血」だった。

彼女は、何年か前までは普通の人と変わらぬ「血」だった。

だが、突然彼女の「血」は変化した。突然変異とでも云うのだろうか。

今まで在る「血」から、未発見の「血」へと変化したのだった。

理由どころか、原因さえも不明だった。

そして、彼女の突然変異した「血」は彼女しか持っていない。つまりでいえば、大きな怪我や手術になるほどの病気を患ってしまった場合―彼女は殆ど助からない。

彼女に見合う「血」が無いのだ。病院側も、そんな事態に対応すべく何ヶ月か、それか何週間かに1回は入院をして、検査をする。

だから、だ。彼女は殆ど体も悪くは無い、けれど危険性はどの患者よりも高いのだ。

だが、彼女はこの話を医師から告げられた時微笑んでこう言った。

『平気ですよ、きっと。根拠は無いです。けど、私まだ生きたいと思っていますから。』

『生きたいってどんな言葉よりも強い言葉ですよ。』と。

それが、十月という女性であった。

だが、彼女は「血」以外全く持って問題ないのである。なのに、今日のことだ。

『本当に・・・・母さんは一体どうなっているんだろうな』 

目羽は一人、ベランダから空を覗いた。綺麗な黄昏時だった。

Re:bloody and
DATE: 2008/11/05(水)   CATEGORY: 未分類
その光景、正しく。
―見た事が在るからと云って、それが正しい事と誰が分かるだろうか。

十月は息子から渡された写真を見て、ふうとため息らしきものをついた。

『やっぱり・・違うような・・これじゃないような・・』

行方と一緒に顔を見合わせ母親に何があったのかと尋ねた。
彼女は少しだけ迷った挙句、辛そうに喋りだした。

『最近とんと昔のことを思い出そうとしたら、霧みたいなものが掛かってしまうの。』
『霧・・・・?』と 行方は鸚鵡返しに言った。

『そうなの、ほらここの病院って外科やら色んな科が入っているでしょう。』

『ああ、そういえば』 と俺は頷くと、横で羽飾りがユラリと揺れた。

『私はここで、目羽を産んだのだけれど・・何時だったか目羽が泣き止まない事があって、廊下を歩いていたの。』
彼女は搾り出すかのように、一言一言選んでいるようだった。

『そうしていたら、声をかけられてね』
『・・・・幽霊とか言わないでくれよ、頼むから。もうそういうの本当に勘弁して欲しいんだからさ・・』

『早合点せずに聞いて頂戴な。』と十月は息子に言った。行方は興味深げに聞いている。

『女の人だったのだけれど、その人も赤ちゃんを抱いていてね。一緒に・・話していた。うん、しばらく話していたの。それで、お互い自分と子供の名前を言ったの。』

そして、彼女は深刻そうに事を告げる。

『けれど、私はその女の人と子供の名前が思い出せないの。』

『・・・・、それって夢とかじゃないの?』 目羽は低い可能性を言ってみた。

『そう、なのかしら・・・・?』

行方はそのとき、何処か悲壮そうな顔をして話を聞いていたが、ぽつりと呟いた声を誰が聞き取れただろう。

『・・・・、まるで僕みたいだ。』 

Re:phantom
DATE: 2008/11/03(月)   CATEGORY: 未分類
とをとき、
ヒラリ、と彼の目の前で羽飾りが揺れた。

―なんだったんだ、アレは。

真四角の戸棚の中に、自分が主役だといわんばかりに、鎮座していた一枚の写真。

そう真ん中に、きちんと。まるで、開けられるのが予期されてあったかのように。

―母さんの話じゃあ、あの机の戸棚はもう何年も開けられていない。なら普通は、あんな風に整ったように真ん中にあるのではなくなるのではないだろうか。

それに、何故あの一枚だけなのか。

『不思議すぎて嫌な感じだな・・・オイ』 と自分で突っ込んだ。

そう云いながら、手に持っていた写真を見る。

やはり、其処には十月と赤ん坊の目羽しか居なかった。

『どおしたの?目羽?』 と横から誰かの声がして振り返った。

『行方、どうしたんだこんな所で。』 今日は灰色の帽子をかぶっていた。

『道に・・迷ってしまって』 ああ、やっぱり。と心の中で思う。

『俺母さんのところに見舞いに行くんだけれど、良ければ行くか?』

そう云うと、しょぼくれた顔をしていた行方は、薄く笑んだ。

『・・迷惑じゃなかったから。』

『喜ぶよ、母さんの事だから。さて行こうか―』

この胸に沈む「不安」という名の果実が落ちますように。

Re:the gray world
DATE: 2008/11/02(日)   CATEGORY: 未分類
あなたに愛を。私に弾丸を。
小さな『記憶』の塊は所詮小さな『記憶』にしかなれないのだろうか。


トルルルゥッ―けたたましくも電話が鳴っていた。

タタタッ―と電話が置いてあった部屋から少し離れた所に居た目羽は走ってソレを取った。

『とっと・・うぇい!』と意味が判らない言葉を言って、子機を取った。

『はい、もしもし目羽ですけどッ・・!』 と息が若干切れていた。

『もーしもーし、十月だけど。』
『母さん?何、電話してくるなんて珍しい・・何か容態変わった?それとも退院できそう?』
『ううん、それはまだなんだけど・・目羽を産んだ頃の写真無かったかな?って』

何でそんなのが見たいんだろう・・、というか撮ってあったんだろうか。

『ちょっと、見たいから出来れば捜して持ってきて欲しいんだけど』

あまり、こういう地味な願いは母親はいったことが無かった。むしろ出来ないからこそ、頼む願いの方が多いのだ。

『・・・・・分かったけど、どこら辺にアルバムとかしまってあるんだか俺知らないんだけど・・』
といいながら部屋を移動する。
『私の部屋のえーと・・机の一番下の引き出しかな?確か。其処にしまってあると思う。』

『はいはいっと・・ん?』

机の引き出しを開けてみると其処には予め仕掛けてあったかのように、一枚の写真だけが真ん中を陣取っていた。
『どうかしたの、目羽?』 電話越しに母親は聞いた。

『いや・・・・うん、何でもない、っていうかこれうっわ・・わっか!』
写真を見ると、今でも充分若いがそれよりも若い母親と赤ん坊が居た。おそらく自分。

『えっ、ここにきて嫌味?ねえ嫌味なの?母さん年喰いすぎた??』
『あんまり・・?とりあえず、これ持ってけば良いんだろ?後で行くよ。』 

『うん、よろしく・・あの、目羽?』 何処か歯切れ悪そうに彼女は聞く。

『其処に、もう一人女の人と赤ちゃんは写っていないかしら?』

『・・・写っていないけど?』 と写真を見て確認する。―うん、居ない。

『・・・・そう、御免ね。』 そう言って、彼女は電話を切った。

Re:Those days are what time.
DATE: 2008/11/01(土)   CATEGORY: 未分類
夢喰い。
一人ぼっちで居るのはさびしかろ。
一人ぼっちで踊るのはかなしかろ。
なら、共に在ろう。

雷落ちた。神鳴りおちた。
じゃあ、山に落ちよう。じゃあ、海に落ちよう。



其処まで、あって彼女は目覚めた。

具合は良いけれど病室に居る女性―十月は少しだけ頭の中で起きてしまった『夢』を思い出した。

そして、己の手を見遣った。

特に意味はないし、そこに何があるというわけでもないのに彼女は手を見た。
そして彼女は又、夢へと落ちた。

其処に居たのは、私と産まれたばかりの目羽だった。
彼女は目羽をあやしながら病院の廊下を歩いていると、同じく赤ん坊を抱いている女性を見た。

コチラに気づいた、女性は少し頭を下げて微笑んだ。

『こんにちは』

『こんにちは、二人とも泣き止んでくれないのね。』と、十月は喋った。

『・・ああ、でもほら眠りかけてくれています。手をかけてくれたほうがその分だけ可愛いです』と女性は微笑んだ。

『ああ、そう言えば名前をいっていませんでしたね。』 御免なさいと、言いながら見知らぬ女性は名を告げる。
『――です、どうぞよろしく』 彼女は器用に赤ん坊を抱えながら手を差し伸べた。

『十月っていうの、こっちは目羽。よろしくね。』 差し伸べられた手を受け取った。

『このこの名前は―・・ 』 

どうして、この女性と赤ん坊の名前を私は、思い出してあげられないんだろう。

Re:What flower will bloom in the world.
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