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DATE: 2009/01/31(土)   CATEGORY: 店主の宝物庫
小さな愛の歌。
―苦し紛れに呟いた言葉はいつか誰かの胸に響く時があるのでしょうね。

チリン、と哀しげに泣いた風鈴の音を聞いてそろそろこれも片付けなくては、と思う。
兄の部屋に目をやると、何時ものように兄は卓上の上に顎を乗せて金魚鉢を見ていた。
正しくは、金魚鉢の中にいる橙色を見ているんだろうけどと思っているとコンコンッと戸を叩く音が聞こえて慌てて玄関に行く。

どちら様でしょう、と戸越に聞くと夏雪です、と答えたのを聞いて顔をほころばせながらとを開けた。

「夏雪さんこんにちは、兄さんだったら、何時ものように部屋にいますよ」
「こんにちは、光也ちゃん。美里は・・その何時もどおりかな?」

「・・何かあったんですか、この前の事件の時」
「・・・いや、あいつが言っていないならそれで良いんだ」
「わたしは気になります、」
そう私が言うと、御免ねと言って兄の部屋に行ってしまった。
何があったんだろうか、と少しばかり首をかしげながらお菓子などを準備していく。

「兄さん、夏雪さん、お茶とお菓子もって来ました」

「ありがとう、光也ちゃん」
「おお、丁度欲しかったんだ」
散り散りに、お茶とお菓子を取っていく風景を見ながら兄の後ろ背にいる金魚、橙色を見た。
相変わらず、綺麗な橙色だなあと思う。

「兄さん、何時も気になっていたけど橙色は一体何処で貰ってきたんです?」
兄さんの顔がピクリ、と動いて目線がアッチへフラフラコッチへフラフラと泳いだ。
怪しい・・と思い追撃に掛かる。

「兄さん、教えてくれたっていいじゃない。私も橙色のこと大好きなんだから」
「そうだ美里。俺も橙色がもう一匹いたら家で飼いたいくらいだ」
嬉しい事に夏雪さんも一緒に掛かってくれた。うっ、と兄さんは怯む。

「・・いいじゃないか、橙色を何処で貰ってきたかなんて。」
「気になるの・・あっでも一匹目と同じ名前だったのよね。」
「おや、そうなのか?・・でもまんまの名前だよなあ、合ってはいるが」

「・・認めるのか否定するのかどっちかにしたらどうだ夏雪。それと光也お前も橙色を好きならそんな細かいことを気にするな」
「・・そうやって又煙に巻く。酷いわ」

「酷い訳があるか、事実だ。実際・・俺もあまり覚えていないのだ」

「・・くくっ、そんな事だろうと少し思っていたよ、美里」
「やっぱり馬鹿にしているじゃないか、夏雪」
「いいやお前のことだ。何処ぞで何か悪いことに巻き込まれた時に、親切な人がお前を泣き止ませる為にくれたんだろうて」
「ああ、納得。」
「・・酷いいわれ様なのは、俺のほうじゃないか」

夏雪さんは安心したから、と言って帰り私は兄さんの部屋でじいっ、と橙色を見ていた。

「兄さん、どうしてこの子にも一匹目と同じ名前をつけたの?」
「・・・どうしてだろうな」
「適当に言うのね・・私は真面目なのに」
「こっちだって大真面目だ。俺はな、1匹目を見たときに少しばかり期待していたのだよ」

「期待・・?金魚に?」
「ああ、金魚にだ。笑いたくば笑っておけ、怒らん。」
兄の顔は真剣だったので、笑えわなかった。何に期待したの?と聞いた。

「・・喋らぬかと、思ってな。一匹目は・・橙色は・・いつか喋りそうに思えたんだ。」
「喋ったら何を話すつもりだったの?」
はたり、と橙色の動きが止まったように思えた、まるで聞いているみたいだな。

「・・さあ、忘れてしまった。それに・・願いはもう叶っているしな」
その言葉に又私は首をかしげた。橙色が縦横無尽に鉢の中を泳いでいた。

Re;my brother and・・
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DATE: 2009/01/30(金)   CATEGORY: 店主の宝物庫
黒曜石の事。
じいっ、と金魚撥の中の手前を見る眼は、旦那のご友人のものでした。

蒸し暑い昼を少し回った頃、旦那が大学から帰ってこられました。
そこまでは何時もと同じなので御座いますが、もう一つ旦那の後ろに人影があることに手前は気付きました。

透明な水の入った金魚鉢の内側から、その姿を見るとそれは旦那の幼馴染の直雪様でした。

直雪様は昔から利口で年に似合わぬ落ち着いた様子など、とても印象強い子でした。
そして、何より手前が最近直雪様に抱くものといったらありゃしません。

何し手前が死んだのは、旦那のご家族は存じていますが、手前が魂だけの金魚というのは旦那だけが存じているのです。

それなのに、直雪様は旦那の家に来るたび手前をじっ、と観察するが如く見て何か不思議そうに首を傾げになります。手前は少々焦りという物を感じておりました。

いつ、直雪様がこれは本物の金魚などではない、等といわれになるかで御座います。
旦那は全く手前の心境に気付いてはおられぬようで御座いますが。

今日は旦那が麦茶を取りに行っているとじいっと手前を見るのですが、変わった事に今日は少し離れて頬杖をつきながらお話をされました。

「今日は幾分晴れているなあ・・これじゃあ農家も大変だろうにな、橙色」
ゆら、と方向転換をするとその様子を見てまた話をされました。

「・・この夏は、どうしてこんなに不思議なんだろうか。俺を飽きさせる事がない。」
それは、先日の事件を言っていらっしゃるのだろうか。

「だが、あいつにとっては何かが終わった夏だったな・・お前はどう思う、橙色」

そう言って視線がかち合ったことに手前は驚きましたがするりと泳ぎました。

「・・・・ははは!金魚に言ったってしょうがないよなあ、すまないなあ橙色」
そう言われた直雪様の顔は、本当に吹っ切れたという心境が滲み出ていました。

「何を人の家で馬鹿笑いをしているんだよ、直雪。」
旦那が麦茶を持ってきてそう仰いました。

「いいや、何でもないさ。そうそう、そういえば橙色は不思議な金魚だな」

「・・どこ辺りがだ?」

「不思議じゃないか。だってこんなにも美しい橙色をしている金魚なぞ俺は見たことがないぞ。」

「だとよ、橙色。良かったな、褒めてもらえて」
旦那が麦茶を手に、ほくそえみながら仰ったのを聞いて日頃の疑問が消えました。

Re:right answer
DATE: 2009/01/24(土)   CATEGORY: 未分類
金余。
手前が旦那の家に来たとき、旦那はまだ幼く旦那の妹様は赤ん坊で御座いました。

手前は良く旦那が金魚鉢を見ているのに気付きました。その姿はとても嬉しそうでございました。

ですが、金魚にも幾分寿命というのが御座います。
手前は旦那が5つに成ろうかという頃に、その寿命を迎えてしまいました。

旦那はわんわん、と泣いておられました。
大旦那や奥様が幾等なだめても、泣き止まないくらいに泣いておられました。

手前は金魚でもう寿命を迎えた後でしたが、その時のことは本当に良く覚えております。

そして旦那はようやく手前を泣きながらも、土に埋め還してくれました。
けれども、手前はそんな旦那に「未練」と云う名の想いを残しました。

光は手前に「生まれ変わる」という救済を与えましたが、手前はどうにもそれは選べませんでした。

それを選んでしまったら手前は、あんなにも哀しんでくれた旦那を呆気なく忘れそうだったからなのです。ですから、手前はそこに残りました。

ですが幾分魂だけとなった手前が旦那を驚かせまた悲しく泣かれるのはどうにも忍びなかったのです。
そうして、表れるべきか否かという問いをこころのなかで繰り返しておりました。

そんな事を悩んでいる内に手前が寿命を迎えてから、4年という月日があっという前に流れておりました。
そんな4年の月日が流れているにも関わらず旦那は毎年手前を埋めた所に花を置きました。
そして少しばかり悲しそうな顔をするのです。

そこで、手前は決意をしました。するり、と手前は旦那の前に以前と変わらぬ姿で現れました。

旦那は突然現れた手前に驚きの表情を見せながら、手前の名前を呼びました。

そして、手前は金魚鉢の中でゆうゆう、と泳ぐ魂だけの金魚となりました。

旦那の両親は手前の事を、手前に良く似ている金魚と思い飼うことを承諾してくれました。
妹様は当時の事を知ってはいないので、素直に喜んでくれました。
手前が手前であることを知っているのは、旦那だけだったのです。

そうやって過ごす事幾年旦那が久しぶりに手前に声をかけたのはつい先日のことでございました。

何でも不可思議な事件に巻き込まれ、その答えを見つけたいのだと言っておりました。

ならば、手前も協力致しましょうと言いその不可思議な事件を解いたのは―夏の暮の事でした。

Re;Orange color.
DATE: 2009/01/22(木)   CATEGORY: 店主の宝物庫
君がいなくなった真冬の事。
何故だか、兄さんの部屋には金魚鉢が一つあってその中を悠々と泳ぐ金魚の名前を橙色といった。
誰が、つけたのかはわからないけどその名のとおり美しい橙色をした金魚だった。
聞けば、その昔兄が何処からか貰ってきた物だそうだが、当の本人自体覚えていない。
そうして、私は橙色をぼんやりと眺めながらコツン、と金魚蜂を突付いた。

「・・・・暇、」 兄は先ほどふらりと何処かへ行き、両親は元より出かけていた。

「兄さんは何処へ行ったのかしらねえ・・橙色」
兄さんは大学生だが、何故かしら事件に巻き込まれやすい。根っからの不運体質だ。

はぁ、とため息を一つ漏らして学生鞄の中から本を取り出そうとした。この暇な時間を潰そうと思ってだが、それをする前に、心地よい眠気に襲われた。


『―どうしてヒトはそんなに重いものをのしつけてまで泳ぎたがるんで?』
誰かの声が響いていました。
『―どうして、ヒトだヒトだ、と思って何かをしようとするんで?』
真っ白な、声でした。
『―じゃあ貴方はヒトじゃないの』
私は声だけを響かせて、尋ねました。
しん、とした空気の中に誰かがいるのは分かりました、けれど見ることは叶いませんでした。

『手前は手前で無くなった、と思うときに別の何かになっているんでしょうー、きっと』
それが、最後でした。

ガクリッ、と揺すぶられて起きた私を待っていたのは兄さんの顔でした。
「なんだ、寝ていたのか。あまりにも起きないから死んでいるのかと思ってしまったじゃないか」
「・・酷いわ、でも・・不思議な夢を見たの」

どかりっ、と兄さんは話せ、と促す。
「姿は見えなくて色々質問をされたのだけど、その質問がまるで自分がヒトじゃないみたいないい振りだったから「あなたはヒトじゃないの?」って尋ねたら・・ええと、「手前は手前で無くなったと思うときが、別の何かになるんだ」って言うのよ、変でしょう?」

そういい終えると、兄さんは金魚鉢の中にいる橙色を睨み付けた。

「どうして、橙色を睨むの?」
「・・・お茶が欲しい、ああそれと菓子もな」
「帰ってくるとこれなんだから・・」 と私は一人呟きながら部屋を出ました。

「妹の夢に侵入するたあ、お前は獏気取りか」
『とんでもねえや・・手前はただの金魚ですぜ、旦那』
「どこがだ、このエセ金魚め」
『酷い言いようで・・そういえば終わりましたか?』
「・・・・、ああ終わった終わったよ。・・・・これで全部チャラだ」

何処か、古ぼけた鈴の音が一つなっていたような気がしました。

Re:lost in many question
DATE: 2009/01/20(火)   CATEGORY: 店主の宝物庫
矛先変えずとも。
ゆら、ゆら、ゆら、たゆたんでいる金魚は随分と呑気そうだ。

それに比べ、自分といったらせわしないといったらありゃしない。

ああ、この金魚の如くゆっくりと、ゆらゆらと水の中を泳いで見たいものだ。

「金魚よ、お前は楽でいいものだな。そんなに呑気にユラユラと、尾びれをふって水の中を泳ぎ回ればよいのだから。」

自分でも皮肉めいていると思ってそういい、金魚にまで疎みを持つ自分が馬鹿げて見えて重い腰を上げ立ち上がろうとした。

『―旦那は何故楽だと思う?』
胃の腑から響くような深い声が聞こえた。一瞬その声が聞こえた自分が恐ろしくなり後ろを振り向こうとした。この家には今自分と、金魚しかいないのだ。

「・・楽ではないか、ゆらゆらと動くだけなのだから」

『何を仰るか、旦那。我等とて、上に上がり空気を吸わねば生きておれませぬぞ。ましてや餌など貰えぬ日には、お迎えがきてしまう』

「楽ではないと、言いたいのか」

『旦那、金魚とヒトを一緒くたにするなんてことが間違っていらっしゃるんで。金魚は所詮金魚、ヒトは所詮ヒトで御座いましょう。手前は元より金魚以外の何者にもなれやしませんが。』

「・・俺も結局はヒトにしかなれぬということか」

『さようで、まあ旦那がどうしても金魚になりたいというなら来世にと、お勧めしときますが』

そういう金魚の台詞を聞いて、さっきまで馬鹿げていた事を言っていた自分に笑えた。

ククッ、と笑うと『おや、笑っていらっしゃる。ヒトは気持ちの移り変わりが速いもんで』

「違うね、お前が尾びれで水中を泳ぐのが遅いのさ」

『・・・・旦那、慰めてやった恩人にそんな物の言い草ってのは無いってもんですぜ』

「恩人・・それも妙ないい具合だなあ橙色」

『これだから旦那は嫌われやすいんだ』

ゆるり、と金魚が俺の眼前で方向転換をし、何処かへと消えた。

Re:dinight summer dream
DATE: 2009/01/19(月)   CATEGORY: 店主の宝物庫
青色の人と黄色の人。
夜が染まる頃には、何か不思議な事の一つや二つおきても可笑しくないのかもしれません。

「って、おいおいまじかよ。」

『そんな言葉づかいだと上司にクビを切られましてよ。全くどうにかしてます。』

「お前のその言葉のほうがどうにかしてるよ」

『ナマけてますの?』

「・・よし分かったメルヒィー、お前のプログラムを初期設定に戻すことが出来るボタンを言え」

『そんなボタンあったら真っ先に壊しています』

「・・・どっかに、ねぇかな・・・」

Re:searching for me ・・・

こんばんわー・・桂月です。いやはや、英語の予習はやっぱりスラスラやれませんね・・。

外国語って・・なんなんでしょうね・・((遠い眼。

あっ、そういえば今日図書館に行ってリクエストした本アンド有頂天家族借りれた・・!

何か、有頂天家族ありましたよ・・!ついでに四畳半・・えと大陸物語・・だっけか・・?

それを、リクエストさせていただきました・・読書熱の収まらないこのごろです。本の虫になりかけています。

夜は短し~ですけど、あったら自分で文庫本の方で買いたいなと思っています。今のところ全滅ですけどね。笑。

そういえば、Roman2巻今日発売みたいで・・おめでとうございます!オルタンスが表紙・・?

こっちに入荷してくるのは21日ですよねーww待ち遠しいです^^

それにしても、4・5日家を修学旅行で離れるもんだから自由が利かないってのは少し不便ですよね。

うー・・忍の録画をどうしようか今ちょっと迷い中ですー・・諦めるかな・・2日間ほど。
DATE: 2009/01/18(日)   CATEGORY: 店主の宝物庫
聞き上手の不運。
学校から帰る途中に、何故か紙コップが落ちていた。
しかも、其処の方には透明な糸がどこに続いているのかは分からないほど長くついていた。
もしかしなくても、これはやっぱり・・糸電話とかだろうか。
ヒョイッ、と拾い上げて試しに『もしもし?』といってみた。
しん―と返事は返ってこなかったから、地面に戻そうとしたときだった。

―もーしもーし、聞こえてますかー?あれ、もしかしなくても私結構いたい人なんじゃ。
そんな呑気な声が聞こえてきて、慌てて返事をする。

―あ、の、聞こえてます?
―あれ、聞こえてるんだ。

―はい、聞こえます。えと・・これ置いた人ですか?
―私はそんな暇じゃないわよ?それにイライラしているからコレ海に落とそうかどうか考えてるの。

―・・落とさない方がいいんじゃないかと。
―・・・ええー・・まあ環境破壊だし、駄目か。駄目な大人になるところだったわ。有難う。

―どういたしまして?あの思うんですけど、こうやって喋ってる僕たちってすごい間抜け・・
―・・それもそうね、すごい間抜けそうな感じ。どうする?投げ捨てる?

―いえ、丁寧に置いてあげるとかそういう感じの方が。
―だって、これ置いた理由ってこうやって拾って何か喋れるのかな?と思って耳に紙コップ当てる私たちの間抜けな姿を見るためにおいたようなきがするのよねえ。

―・・あながち、間違ってないような気もしますけど紙コップに非はないですし。
―そうね、非はないわ。けど、私は紙コップにも八つ当たりをしたい気分なの。

―・・・僕とかでよかったらお伺いしますけど・・。


―そんなレッテル貼られてたまるもんですかああああああああああ!!
女性が思いっきり大声をあげた。すると、糸がプチンッと音を立てて『あっ、』と僕が声をあげるまでも無く糸がたらリ、と地面に落ち。

その光景に少し、ポカンとしていた。

―・・・何かえらく元気な人だったなあ・・・。映画って、どれなんだろう。

Re:woman of string telephone.

・・・・・懸賞に当たったよぉおおおおおおお!!((←もちつけ。

やった!何か9時くらいに郵便配達の叔父さんが来て、何だ何だ、と思ってみたらファミ通の応募した奴でしたよ!うわあああああい!!レイトン当たったあああ!!((←

中身のチャーム見てないんですけど、kらうす入ってるかなwwちょっ、まじで有難う御座いました!

朝からすごいテンション上がりました!うわああい!!
DATE: 2009/01/17(土)   CATEGORY: 店主の宝物庫
糸電話の話。
―青い空に白い雲、映え渡る景色。はさみで切り取れる物だったら切り取ってやりたいわ。

―でもね、そんな景色も今の私にとって憎い対象の一つなのよ?

―だって、ひどいとは思わない?・・何がって?言ってなかった、私?

―あら、ごめんなさい。じゃあ、言うから聞いておいてね。

―私はこれでも女優なの。

―・・気の抜けた返事をしないで頂戴な。・・え、本題?ああ、そうね。そうそう。

―以前出演した映画がすごく良くてね、私も気に入っているお話しなの。

―なのに、監督ったら何を言ったと思う?

―これは、駄作だ!よ?ふっざけんじゃないわよ!本当に!じゃあそんな駄作に出演した私や他の共演者は何?駄作の出演者?

―そんな・・そんなレッテル貼られてたまるもんですかああああああああああ!!

ぷつんっ。

―あっ、切れちゃった糸電話。誰だったのかしら、やけに聞き上手な子だったけど。

Re:Sound to the top of this world.
DATE: 2009/01/16(金)   CATEGORY: 店主の宝物庫
唯一理解できなかったほら。
『―そうそう、知ってる?今度ね、あそこの方に美味しいレストランが出来るそうなの』

一体どれ位時間が掛かったかはわからないけど、とりあえずレベッカという女性の話が終わっているところを見て、10分か20分ほどは経っている気がして成らない。

『へぇ・・いいね、僕は料理が全く出来ないからそういう店が出来ると嬉しいよ』
『そうなの?ああ、でも作ってくれる人だったら沢山居るでしょう?』
何か別の意図を含ませて女性は聞いたように思えた。

『ふふっ、そうだね、居るかもしれないけど―僕が美味しいって思う人は限られていると思わないかい?』そういうと、女性は両手で自分の顔を包み込んで顔を隠した。

そんな女性を見ながら、別の方向を見ると楽器を手に音を鳴らす、メッツェティーノが居た。周囲には人だかり。その音色は変わらなかった。片目を失って、楽譜を覚えるのにも苦労しただろう。確かに演奏会の話はあまりないけど、彼は音をなくすことは無かった。

『・・あら、この曲もう随分前のね。何で弾いてるのかしら?』
『何でって、昔のはひいてはいけないの?』
『えっ?だって、新しいのだってあるじゃない。昔のにも良いのにはあるけど、今のだってー』

『ふーん・・あれね、僕の兄なんだ』 笑って言うと女性の顔が引きつった。

『そっ・・そのお兄さんが悪いとか言う訳じゃないわ。曲が―』
『曲ね。けどあれは片目で覚えた曲なんだ。いつだって、新譜を買っても納得できる頃には、もうその新譜は新譜じゃなくなってしまっている。君は、一体何が悪いと思う?』

彼女の顔が悲しみの表情へ変わりそうになっていたが、一変して驚きへと変わった。

ゴンッ!―『いっ!!』 僕の頭にこの上ない衝撃が走った。
後ろを振り返ると、仏頂面をしたメッツェティーノが立っていて女性に視線をよこし。

『このほら吹きがひどい事を言ってしまった様で、すいません。どうぞ、気にしないで下さい。馬鹿のたわごとです。』そういいのけた。

『え・・いえ・・その、彼の言い分も正しいですし・・私その、そんなことだとは知らなくて』
すいません、と謝ると女性はクルリ、とターンをして走り去った。あっ、逃げられた。

『・・・で、なんでわざわざこっちにきたのさ?』
『耳は昔からいいからな、お前は何時から説教する側に回った。お前は、ほら吹きだろうに』

『たまには、僕だってほら以外を吹いてみたくなるさ。―昔の事を思い出すと余計にね』
『・・・・・気にするな、といっていたはずだが?』
『ソレは無理に近しい話だよ、メッツェティーノ。まあ僕は君と同じになることで少しあの罪悪感から逃れたんだけどね。』
そう言って、自分の眼を殆ど見えなくしている前髪を掴む。

『これは、僕の覚悟なんだから。』

『・・・ほら吹きがほら以外を吹くとろくな事が無さそうだ。今日は、さっさと帰るとしよう』
『あーあー・・ちょっと待ってよ、僕貴重な今日の料理を逃しちゃったんだから何か作って』

『自分で作れ、それか何か買え』
『・・・僕が早死にしてもいいの?』
『その心配は無さそうな気がするな、お前は長生きしそうだ。』
『どういう意味だか、すごく気になるねそれ。』
『自分の胸に手を当ててよく考えるといい、プリチネッラ―』

そう云いながら、二人は同じ方向へと帰っていった。

―そう言えば、メッツェティーノ。どうして君の目にはそんなに光が詰まっているのさ。
―・・はっ?

Re;requiem ((←鎮魂曲。
DATE: 2009/01/14(水)   CATEGORY: 店主の宝物庫
貴方に良く似た光の話。
―例えば、それは直ぐに目の前を過ぎ去っていく儚い星の最後のような。

メッツェティーノの声がして次の瞬間にはメッツェティーノが僕を見つけてやって来た。

『・・こんな所に居たのか・・人が一生懸命呼び止めてるってのに聞きもしないで・・お前は』
と、全速力で走ってきたのだろうか、肩で息を切っている義兄の姿。

謝らなくてはと思ったが、ピエロが何かを見て小さな悲鳴をあげる方が先だった。振り返るとあの男たちが居た。そして、目ざとくコチラに気付き近寄る。

『おいおい、あん時のガキじゃねぇか。おい、どうするよ?』
そう声を荒げていった、僕はメッツェティーノを後ろに隠しながら

『・・何度も言うけど、僕はアンタ等が言ってるお嬢さんを連れ去ったりしてなんかいない』

『へぇ、まだ言うかこのガキ』そう言って男は殴りに掛かろうとした次の瞬間。

バシャッ―水の掛かる音が聞こえメッツェティーノを庇いながら見るとそこにはポットの中身の熱い紅茶を喰らい顔を必死に両手で覆っている男の姿があった。何があったのか、と思うとそのポットを持っていたのはピエロだった。

『プリチネッラは・・やってないって、言っているのにどうして殴ろうとするんです!』
と先ほど喋っていた時の彼女からは考えられないほどに、気丈だった。

『・・・この女ァ・・畜生・・!』といって男はピエロにまで殴りに掛かろうとした。が。

ゴンッ―これまた重い何かがぶつかるような音が聞こえた、そして男はパタリッと倒れてしまった。もう一人の男が、慌てて男の元へと駆け寄る。

『全く女性にまで手を上げるだなんて何を考えているんです。怪我は無いですか、ピエロ?』
と、声が聞こえ周囲を見渡すと片手に紙袋を抱えた少年が、ピエロに尋ねていた。

もう片手には皿が握られていてさっきの音の正体は、彼が器用に男の後頭部に皿をフリスビーのように当てたからだと分かった。

『・・ハレルクィン、私は大丈夫・・ありがとう』とピエロは喋っていた時のようになった。

『何よりです、そちらの方は?と、メッツェティーノ・・?どうして眼を怪我しているんです?』
『色々とあって・・まぁ、名誉の負傷だよ。』
『そうですか・・それにしては大きすぎる代償ですね』
と、ハレルクィンは片手に握っていた皿を倒れていない男へと投げた。
ゴンッ、と背中にあたり倒れこみながら『ただで・・済むと思ってんのか!』と叫んだ。

すると、周囲の店の店主たちや従業員たちが出てきた。
『ただで済むと思っていないのは、アンタ達のほうだろうが!』
と男に負けないくらいの声をあげたのはパン屋の叔母さんだった。

『いいかい!この子は誰かが元気が無い時はほら話を聞かせて皆を元気にしてくれる。そんな子が人様の娘攫っちまうもんかね!』
僕のほうを向きおばさんはニコリ、と微笑んだ。

『メッツェティーノの眼をこんなにしちまって。ほら、言って御覧よ!この子達が何処の娘攫ったって言ってんだ!』

『・・くっ・・!』と状況が危ないと思ってか、男が逃げ出そうとした。そこへ又ハレルクィンは今度はお盆を手にとり投げた、するとひきつけられるみたいにそれは男に当たった。
DATE: 2009/01/13(火)   CATEGORY: 未分類
長雨注意警報。
―彼の世界は、何時だって雨ばかり眺めるのにも飽きる位の。だから、いつかこの雨が止む事を願ってやまないの。

部屋に入ると目に包帯を巻かれたメッツェティーノがいてこちらに気付き、笑いかけた。
『よぉプリチネッラ、元気か?お前は怪我・・ああ青あざが出来てるな』
そんなことを言った、罪悪感が少しだけ薄らいだ気がして自分が憎かった。

『・・・・、どうして助けたの・・』
やっとの事で、答えた言葉は自分が思っていた言葉ではなかった。

『・・・助けるのに理由が要るのか?』
『僕は君の家族じゃない・・っ!君は・・僕なんか助けなかったら・・眼なんか怪我もせずに済んだのに・・音楽もまだ続けられたのに!・・・どうして僕なんか助けたの、メッツェティーノ』
そう叫び終わった後にメッツェティーノを見れば酷く悲しそうに顔はゆがんでいた。

その顔にも耐え切れず、プリチネッラは外に飛び出した。メッツェティーノは何か言っているようだったけれど、僕たちは本当の兄弟になんかなれっこない。

気付けば噴水のある広場にいて、噴水を囲むかのように色んな店が出ている。噴水の側にへたり込むと、頼りなさげな声が投掛けられた。

『―あの・・具合でも、悪いんですか?』 前を見ると黒い長髪に弱々しげな態度の女性

『平気だよ・・少し走りつかれただけだから』 
『・・すいません、おせっかい焼いてしまって・・』 
女性は心底申し訳無さそうにいい、僕が座っている所から少し離れた所に座った。

『・・君名前は?』 声をかけると彼女はびくり、としおずおずとした様子で答えた。

『ピエロ・・と言います・・あの貴方は?』 
丁寧に頭を下げる動作は彼女が元からこういう性格なのだとわからせた。

『僕はプリチネッラ、よろしくピエロ』
『あの・・プリチネッラはどうしてここに?』
答えに詰まったが、彼女はとつとつとした話を聞いてくれた。

『プリチネッラは・・その・・お兄さんのことは嫌い?』 
『・・・嫌いじゃないよ、でも・・僕のせいでメッツェティーノの眼を見えなくしてしまったんだ』

『私は・・多分そのお兄さんは・・きっと楽器が弾けると思うの』
『でも、眼が見えなくなったんだよ・・?』

『それでも弾けると思うの・・なんでだろう?私にも・・良くわからないんだけど・・』
そういうと、酷く寂しそうに微笑んだ彼女はそれにね、と続けた。

『プリチネッラのことを・・お兄さんは助けてくれた。それは本当に大切だ・・って思っている人しか出来ないと思う』
『どうしたら、いいかな・・僕』
『・・ごめんなさい、って言えばいいんじゃないかな、・・プリチネッラがそのお兄さんの出来ない事をやってあげたりすることもお兄さんの助けにもなると思う。』

『・・・・ありがとう、ピエロ』
彼女にお礼を言うと、彼女は役に立てれたなら嬉しい、と言ってくれた。

次の瞬間、どこかで聞いた声がした。
Re:fantasia
DATE: 2009/01/12(月)   CATEGORY: 店主の宝物庫
救えない程に。
―救えないほど、人は救いたいと願う。

バリゾンネの奥さんは、温かい飲み物をくれ何があったのか尋ねた。
見知らない男の2人組みに追われ、挙句の果てにお嬢さんを連れ去ったという濡れ衣をかけられた。
そう話すと、奥さんは真剣な眼差しで『本当にやっていないのよね?』と尋ねた。

『やってないよ・・、誰かを連れ去るだなんて・・そんなの僕はやらない!』
半ば叫ぶようにして言うと、奥さんは『ごめんなさいね、』と謝って頭をなでた。

『・・・メッツェティーノ・・駄目なのかな・・・』 
ポツリ、と呟いた言葉に奥さんは難しそうな顔をしていた。

『大丈夫よ、家の旦那は一番のお医者さまだから。きっと、大丈夫、きっと』
そう言って、奥さんは何処かへ行った。
目をやられてしまった、あれじゃあ楽器が弾けない。もう、あの音も聞けない。
プリチネッラを襲ったのは、おそろしいほどの罪悪感だった。

『どうしよう・・・―』 罪悪感の中どろり、とした眠りに落ちた。

『で、どうして刺されたんだ、メッツェティーノ』
手術が終わったのか、バリゾンネは横たわるメッツェティーノに尋ねた。

『イカツい男2人組みがプリチネッラを刺そうとしてた・・・多分だけどアイツら例の組の部下だ』

『どうしてそんな奴等がプリチネッラを・・?』 『分からない、分かってたら・・苦労しないよ』

ひたりと、メッツェティーノが自分の負傷した眼へと手を伸ばしていた。
『・・・・・見えない、』 

『生きれただけでも儲けものだ・・と言いたいが、お前さんの目はもう見えんじゃろうて。良くて、ぼんやり見えるのが限度じゃ、眼鏡をかけてもおそらく意味は無い』
バッサリといったのは真実を先に告げておいたほうが良い、と思ったからだ。でないと、彼は折れるだろう。

『そっか・・、見えないのか・・俺・・楽器弾けないかな・・』
『・・・・、分からんそれはお前さんじゃないと』 そうだよなあ、と言って、先生と続ける。

『俺、不思議と後悔してないんだ。プリチネッラを助けて、視力を失った事に』
『・・・・なんでじゃ?』

『多分、初めて出来た家族を・・・救えたからかな?それに、思うんだ。楽器も・・多分弾けるって』

Re:romance  ((←ロマンス。 芸術歌曲の意味らしい。
DATE: 2009/01/11(日)   CATEGORY: 店主の宝物庫
やがて貴方に降りかかる災難。
タッタッタッ―・・・、暗闇に降り積もる雪とその雪に無慈悲に足跡を残す2人。
そして、2人に追いかけられる一人の少年の姿をまだ誰も分からないで居た。

『・・・はっ、はっ・・・・』
ずしゃっ、と雪に足を取られ少年は転んだ。ようやく月の光に照らされた顔は、プリチネッラの物だった。

『随分と往生際が悪いな、ガキ。認めろ、お前がお嬢様を連れ去ったんだろうが!』
『知らない!僕は、誰かを連れさってなんか無い!』
男は、もう一人の男にだとよ、というと聞かれた男が冷めた目でこちらを見た。

『少しくらい痛い目を見たら、はくかも知れんな』
そう男の言葉を聞いて、もう一人の男はぬらり、と何処から出したのかナイフを持った。

自分の頬を雪の寒さに負けないくらいの冷たい汗が落ち―終わってしまうんだと、思った。
自分の胸元を見るとメッツェティーノから貰った贈り物が一際輝いていた。色んな思いで一杯になっていると男は無常にもナイフを振りかぶり―

『っ、!!』 『なっ・・・・・・?!』
痛みは不思議と無かった、恐る恐る自分の前を見ると、どこかで見たような背中があった。
『・・・・メッツェティーノ、?』 『帰りが遅いと思ったら・・何・・してるんだよ、お前』

メッツェティーノだ、と思い前に出て傷は無いか確かめようとすると、メッツェティーノの顔が可笑しくなっているのに気付いた。彼の右目には異様な物―ナイフが突き刺さっていた。

『っあ、?・・・・ああああああああああ!!』 喉が裂けそうなくらいに叫んだ。

メッツェティーノはナイフの刺さっている目を抑えながら、2人を見た。
『・・・・弟に・・何のようだ?』 『ひいっ!』 『くっ・・・!』

『何の・・用だ・・って聞いてんだよ』
低く唸るような声で目を抑えていた手をどけ、ふらりと立ちながら2人を睨む。
すると、男たちは二人とも『ひいっ』と情けない声を上げ何処かへと去っていた。
ふらり、とメッツェティーノが雪の上に倒れた。

『・・・メッツェティーノ・・、眼・・が・・!』
ありえないくらいに心臓の音が大きく聞こえた。メッツェティーノは息をするのも辛そうに、喋った。

『バリゾンネ・・さんの所に連れて行って・・・くれ、なんとかなるだろうから、』
そう言うと、喋らなくなった。危ない速く、行かなくては。メッツェティーノを、助けなければ。メッツェティーノの肩を掴みバリゾンネさんの家に急いで向かった。

雪の上には赤い模様が浮かび上がり月光に照らされるたびメッツェティーノのソレがおぞましく感じられた。怖い、怖い、死ぬのは怖い。

ドンドンッ、と扉を叩くとバリゾンネさんが扉から出てきてメッツェティーノの異常に気付き
『早く中へ運べ!・・なんてことだ・・おい、手術の用意をしてくれ!』
そう叫び、僕は寝台に横たわらせているとバリゾンネの奥さんが来て『あなたは、こちらにいらっしゃい』と別の部屋に連れて行かれた。

Re;rhapsody
DATE: 2009/01/09(金)   CATEGORY: 店主の宝物庫
役者は揃いましたよ。
―ほら、あっちはあんなにも哀しい。けれど、こっちのはもっと悲しいの。

家の明かりが点いていた事に気付いて、プリチネッラが帰ってきていることが分かった。
約束どおりに扉を叩くと、施錠の音が聞こえ見慣れた顔が顔を出した。

『あっ、帰って来た。メッツェティーノも人の事言えないよね、さっきまで引きこもってたし。』 

『・・・良いじゃないか、演奏会の練習しなきゃいけなかったんだから』

帰ってくるなり小言を喰らってしまった。贈り物を渡すタイミングが分からないで少し困っていた。

『僕料理も作れないしー・・お腹減ったよー、はー・・料理ってどうしてあんなにむつかしいんだろうねえ』
単に料理のセンスが無かっただけな気もするが。あれはない、鍋をどうやったら穴を空けれるんだ。

『・・作ればいいんだろう、作れば、』

そう言って、何時ものクセで持っていた物をテーブルの上にどんっと置いてしまった。
あっ、と心の中で呟いた時には既にプリチネッラの手に渡っていた。

『うーん・・何コレ?・・えいっ、』
と何故か掛け声を一つ言ってカポッと空けて中から出てきたのは先ほど貰った蝶形の装飾品。見つかった物は、仕方ないと腹を括って料理を作りながら喋る。

『誕生日の贈り物だ、プリチネッラ』
そう云うと、何故だか空気がしーんっとしたのが分かる、言い方とか拙いんだろうか。そう思って後ろを振り向くと凝視されていた。

『凝視するほど驚いたか』と、ちょっと偉そうに言うと。

『うん、驚いた。』と、素直に返された。その返答に毒気を抜かれ危うく指を切りそうになった。

『・・・・これ、僕になんだよね。』
『だから、そう言っているじゃないか』

『・・・そっか・・あっ、今さら返せって言っても返さないからね、』
どうやら、お気に召したらしいが念のためにあのお爺さんの約束を言っておいた。

『もし、気に入らなくなったりしたら俺に返せよ。それ買ったところの主人と約束してるんだ』

そう言うと今まで手の中にあった贈り物を見ていた顔をバッと勢い良くあげ、

『断言しても良いよ、それは、絶対にありえない。こんなにも気に入ったんだから!』

夜中にプリチネッラの断言が部屋の中にこだました。

Re:wallz
DATE: 2009/01/07(水)   CATEGORY: 未分類
アメジスト。
ふと、カレンダーを見ると大きな赤丸印がある日をぐるり、と囲んでいた。プリチネッラの誕生日だという日に。

『・・・・何か買ってやろうかなあ』
メッツェティーノは楽譜や楽器を片付けてコートを着込み出かける準備をし始めていた。
最近では、買い物に行くのは専らプリチネッラの仕事だったので、演奏会やらの打ち合わせなどで出かける以外はそれこそこもりきりだった。

あまり高い物は買うべきじゃないし、かと言って安いのもどうかと思いながら歩いていると、一回その場所を過ぎてから戻る、宝石を型に埋め込んだ蝶形のモノが気になって中に入った。ショーウィンドウの外から見ただけではあまり分からなかったが、これは・・無用心すぎるんじゃないかと思った。丸型の細い机の上にポツン、と放置されてあるのだ。

『どうぞ、盗んでくださいと言わんばかしの行動だな・・』
『はっは、それが出来る奴は凄いなあ』
『・・っ?!ここのご主人で・・・?』 驚いて振り返ると少し背の低いお爺さんが立っていた。

『ここを開いてもう30年近くになる・・それが気に入ったのかい?』
『はぁ・・贈り物にと、考えちゃいるんですけど・・幾等くらいするんでしょう?』

そう聞くと、じっとそのお爺さんは睨むように俺を見る。
『失礼な話だがね、恋人にかい?』
『・・・いえ?弟にと・・誕生日が近いんですが何もやれていなかったので』

『そうかい・・睨んじまって悪かったなあ。何しろ最近の若い奴に一生懸命作ってこしらえた物を売るだろう?そしたら、そのあげちまった奴が質屋なんかにうっぱらうんだ、こんなにひどい話があるかね』

『・・・確かに、それは職人としてひどい話ですね。』
『だろう?だから、敏感になっちまっててな・・弟さんにあげるんだったか?』
『はい、血は繋がってはいませんけど』
『でも、兄さんは弟だと思っているんだろう?』
『あんまり血とかは関係ないんじゃないかと俺は思うんです。側に誰か血の繋がっている人が居ないからこういえるのかもしれませんけど・・それでも、俺はアイツを弟だって胸を張って言えます』

『・・・・・そうかい、そりゃあいい。じゃあ、兄さんはコイツが気に入ったんだよな?』
はい、と答えると、絶対に約束して欲しい事があるんだ、という。なんですか?と尋ねる。

『絶対売らないでくれ、売ろうと思ったんならコイツをここに持ってきてくれ』

『分かりました、あのお金は?』 『いらねえよ』 『でも、』と次の言葉を言いかけた。
『兄さんは俺の話を真剣に聞いてくれた、それだけで充分だ』
お礼を言ってその店を後にした。

Re;ballad
DATE: 2009/01/06(火)   CATEGORY: 店主の宝物庫
拝啓ファニー様。
―貴方の音を知るのは、まだ先かもしれません。

『メッツェティーノ、買い物に行ったらパン屋の叔母さんが値段を半額にしてくれたんだ』
プリチネッラが、にこにこと楽しそうに笑いながら言うのをメッツェティーノは聞いて

『へぇ・・・あのパン屋のおばさんがなぁ・・』と戦利品を見遣る。
結構な量で、2日・3日くらいは持つぐらいの量なのに、半額とは気前のいい。
プリチネッラは、外に自分から行くようになった。ずっとあのまま部屋の中で燻っていてはバリゾンネのところへ行かなければ成らないところだった。

『今度は何を弾くの?』と聞かれ、『ピアノだよ』と答えると『僕まだピアノは見たこと無い』

『あれは、大きいし場所もとるからな・・明日は俺は練習して帰るからプリチネッラ飯は・・』
一瞬自分で作れよ、と言おうとしたが先日料理を教えていたとき大惨事になった事を思い出してやめた。
『バリゾンネ先生のところへ行くか、何か買って食べておくかにしてくれ』

『うん、分かった。』と、言った後『あっ、そうそう』と、言って椅子に座りながら話す。

『今日不思議な子にあったんだ、』 不思議な子?と譜面を見ていたが顔をあげてプリチネッラを見る。

『うん、不思議な子。噴水がある場所があるだろう?アソコでね、何だか悩んでいるような顔の子が居たから色々ほら話をしたんだ。』

一瞬プリチネッラの言った言葉に、驚いたが最近では珍しい事じゃない。コイツのほら話はどちらかと言えば人を明るく、元気にさせる笑い話として話す物だし、聞いた所買い物先やバリゾンネ先生の奥さんにも冗談だと分かる話らしい。

『そりゃあ・・お前、ほらだって言ってきたんだろうな?』 念のため聞いておいた。

『言ったよ、そしたら「不思議だね、」って笑ってた。それで又ほら話をしてくれって言われた』

『不思議だな、それは。お前のほら話を望んで頼むなんて』 

『でしょ?でも・・悪い子じゃないよ、きっと。今度天気のいい日に話す事にしたんだ』

『それがいいな・・最近じゃ冬だしめっきり寒くなってきてる。その子に風邪を引かせるわけにもいかないし・・、お前も気をつけておけよ』

『分かってるよ、メッツェティーノ。あっ、ご飯食べたあと何か弾いて欲しい!』
嬉々としていうプリチネッラに少しばかり苦笑しながら、分かった、と言って楽譜を別の机の上へと移動させ、数多ある楽譜の束を持ってきて

『どれでも好きなのを取っていいぞ』 

『・・・・・・じゃあこれ』 と言ってプリチネッラが引いたのは、

Re;romances sans paroles ((←フランス語 無言歌。言葉の無い歌という意味。
DATE: 2009/01/05(月)   CATEGORY: 店主の宝物庫
このまま、っていう永遠。
僕がメッツェティーノの家に住まわせてもらう為の仕事は「留守番」をすることだった。

別にじっと部屋の中で待たなくても良かった、実質メッツェティーノは外に出て遊んでも良いと言っていたし、それでも外に出なかった理由は自分でも良く分からない物だった。
なんだか、外に出たら最後で二度と戻れないような、そんな気がしていた。

コンっ、とノックの音が聞こえてその音を数える。約束で、何回ノックをするかでドアをあけるように言われていた。
『何で?』と尋ねると、少しばかり肩を竦めながら『最近じゃ治安がすこぶる悪いんだ、ここら辺』というと側にいたバリゾンネさんも頷き『別の地域の組が、子供の体調がえらく悪いもんでコッチで養生させるとか、いう話だ』と言われたがあんまり信じてないという顔をしていると、『本当の話だぞ?実際わしの所にもきたしな。』

へぇ、とメッツェティーノは言い、治らないの?と僕が尋ねた。
『治る確率よりも、かかる確率の方が不思議な位だな・・悪意の塊じゃ、あの病気は』

ガチャリッ、と鍵を開けると雪を頭に乗せたメッツェティーノが居た。少し驚いた顔をしていた。
『外に行っても良いんだぞ?毎日部屋に居るのはきついだろう』と開口一番尋ねた。

『部屋に居た方が、何か安心する』というと、ポンと頭の上に手を置いた。

『なら気が向いたら外に行くと良い。ここはお前の家なんだから、追い出したりなんかしない』

一番心配していた事を、なんでいい当てたんだろうと思ったが口には出さなかった。

次の日メッツェティーノは家に居て曲の練習をしていた。何の曲?と尋ねれば、狂想曲と言って何か思いついたような顔をして僕に言う。

『俺は、一日家で練習しないといけないから買い物をしに行ってきてもらえないか?』
『・・買い物する場所が分からないよ』
『大丈夫だ、困った時はそこら辺に居る人に尋ねりゃいい。きっと教えてくれるさ、ここの町の人は大半が優しい人だから』
『・・・・分かった、』といって外に出た。

前髪をすっかり切ったせいか景色の見通しは良かったが、どうも視線が気になって仕方ない。どうしてだろう。とりあえず、近くに居る人にメモにかいてあった物を買える場所を尋ねると、メッツェティーノが言った様に困った顔すら見せず教えてくれた。

コン、と約束どおりノックすると、ガチャッと音がしてメッツェティーノがひょっこりと顔を覗かせた。

『お帰り』とメッツェティーノが笑って言う、『ただいま、』と、つられて笑った。

Re:Interlude.
DATE: 2009/01/04(日)   CATEGORY: 店主の宝物庫
誰かとの、
『一つ聞いとくがな、メッツェティーノお前確か弟は居なかったはずじゃなかったか?』
『たった今さっき、出来たんだ。ミス・バラゾンネ、プリチネッラの前髪どうにかしてくれないかな?』
『・・・こっちへいらっしゃい、坊や』  

奥の部屋からティーセットを持ってきた婦人に言われて着いていく。どうやらメッツェティーノが喋っている少し年を取った男性が、バラゾンネさんらしい。

『ここに座って頂戴な、』と言われ椅子に座ると婦人は『どれ位切った方がいい?』と聞いた。

『邪魔じゃないくらい』と答えると、険しい顔を少しほころばせて『じゃあ少しずつ切って試して見ましょうか。』といってくれたので、頷いた。

目線だけを、2人の居る部屋へと向かわせていると婦人が『気になる?』と喋りかけてきてくれた。

『・・・どうしてメッツェティーノが僕を家に住ませてくれるのかよく分からないんだ』

婦人は『こんな年食った人の話で悪いけどチョット聞いててね』と言った

『あの子はこんな季節だったかしら・・うちの前のところで座り込んでてね、旦那が「そんな所でうずくまってて親は?」って聞いたんだけど「知らない」って言うもんだから、そりゃあびっくりしたんだけど』

『それで行く当ても居ないというよりも分からないって言うから旦那があれでも子供好きでね、じゃあ家で面倒を見ようって事になって、何時だったかしら何時もみたいに患者の人を診療してたら、その患者さんが丁度音楽家で、ヴァイオリンを持っていてメッツェティーノがそれを弾きたいってせがんだものだから、音楽家は快く弾かせてくれたんだけど・・』

『弾かせてくれたんだけど?』と聞くと婦人は前髪をチェックしていた。

『あの子は即興で躊躇いすら見せずに、音楽家もたまげるくらいの演奏をした。しばらく旦那も私も開いた口が塞がらなかったのよ、しかも後で聞いたら初めて弾いたって言うし。音楽家の人は、「この子に、何か楽器を引かせてあげるといい、この子はとてもいい才能を持っている」とかなんとか』

『しばらくしてあの子は色んな楽器が弾けるのが分かって楽団とかと演奏してお金貰ってこの家出て貴方がうずくまってた家に住んでいるんだけど―前髪どう?』

『邪魔じゃない・・・・話してくれて有難う』 お粗末様、と後ろで声が聞こえた。

2人の居る部屋に戻ると、2人は色々お菓子をほおばっていた。

『・・・・・おお、さっぱりしたな』 とメッツェティーノが水気のなくなった声で言った。
『さすが、わしの妻じゃな、なんでもこなす!』とバラゾンネさんは自分の妻をたたえた。

『メッツェティーノは色々楽器弾けるの?』と僕も椅子に座らせてもらい菓子を貰いながら聞いた。

『大半はな、何か知っている曲でも弾いてやろうか?』
『・・・・知っている曲無い』
『・・そっか、じゃあ今から弾く曲がお前の最初の曲だな』
黒色のケースからヴァイオリン、という奴なのだろうかそれを取り出して弾きだした。

『曲名は、なんなんじゃ?』とバリゾンネさんがメッツェティーノが演奏し終わって聞いた。
メッツェティーノはこちらを向いて、にこりと笑ってこう言った。
『カナリア』 

Re;Scherzo ((←諧謔曲・・イタリア語で冗談の意。
DATE: 2009/01/03(土)   CATEGORY: 未分類
暗闇と。
『―なんで、人・・っていうか子供が雪に埋もれてんだ?』

初めて、その人が喋ったのはそんな言葉である意味印象的だった。

『いくところ無いから』
僕がいうと、彼は一瞬怯んだ。そして、片手に持っていた荷物を置いて僕の頭の上に積もった雪を払い落とした。

『親は?』と短く尋ねると、『覚えてない、』と答えた。実際覚えていない。
彼は膝を地面に積もった雪の上に曲げて僕と同じくらいの高さにして喋り始めた。

『・・お前の名前は?』
『プリチネッラ、君は?』 
『メッツェティーノ』

お互いの自己紹介を済ませると、メッツェティーノは考えるような顔つきをしてこう言った。

『プリチネッラ、お前が良かったら俺の家にすむか?』

はっきり言って、メッツェティーノの考えが分からなかった。どうして、と尋ねると

『行く当ても無いんだろう?俺も、お前と同じで親も兄弟も居ないし、親戚も居ないんだ。だから・・そうだな、俺は楽器とか弾いたりするのが仕事なんだ。そうしたらこの家には誰もいない。けど、もしも、の時を備えて誰かに家に居て欲しいんだ』

嫌ならはっきり言っていいとメッツェティーノは自分のズボンについた雪を払い除けながら言った。

『・・・・・・可笑しいよ、そんなの。僕、君と会ったばかりなのに』

『お前の意見は正しい。これは、可笑しいさ。けどな、見捨てちゃ置けないだろう?お前が今日、俺の家の前で雪に埋もれていて俺と同じ境遇で放って置いたらこの季節だ、死んでしまう。それに、何でかな?お前を助けなきゃいけないって、そんな気がするんだ』

彼は笑いながらそういいのけた。そして、その頃から長かった前髪を少しどかして彼の顔をよく見ると、メッツェティーノの眼には何故だか光が沢山だった。

少し悩んで、『住む、』と短くメッツェティーノに言った。
するとメッツェティーノが頭を思い切りわしゃわしゃとなでて、『その前髪、邪魔じゃないのか?』と聞かれ、『少し、』というと『じゃあ、後でバラゾンネの奥さんに切ってもらおう』と言って何処かへと歩みだした。

この時ほんの少しだけ、雪が好きになった。

Re;capriccio  ((←奇想曲。
DATE: 2009/01/02(金)   CATEGORY: 未分類
まどろんでしまった夢への行き方。
人とは、なんだろう。

人とは、一体どうして産まれたのだろう。

人とは、一体どうして生きなければならないのだろう。

人とは、一体どうして死に行く姿を見なければならないのだろう。

全ては、誰ぞ知るや。さもあらん。是非も無し。

幼い頃覚えているのは怖いくらいに白い雪が自分の上に無慈悲に降ってくる事くらい。

それが、プリチネッラが覚えている光景。その後に覚えている事とは、自分が偶然にも彼の家の横に雪に埋もれかけていた所を見つけられそして、育ててもらったということ。

「大丈夫?頭でも痛いの?」
声がかかり見知らぬ女性に大丈夫、と言う。見知らないのは何時もだ。

「そう?でもびっくりしちゃった、他の子達が言ってた人に会えるなんて」
「光栄だけど、僕は、ただの―ほら吹きだよ?」
「あはは、でもカッコいいじゃない。」

カッコイイ、ね、と呟くと女性は独りで喋り始めている、口を挟む事も無い位他愛の無い話。

プリチネッラは、唯一幼い頃に関して確信をもっていえる事は、自分の名前と誕生日くらい。両親の名前は忘れた。その事を、負い目に思うかと尋ねられればそれはもう無い、自分が不幸だ、哀れだと思っていては自分を甘やかすばかりだ。

「それでね、可笑しいのよ。レベッタったら―」

だが、彼が唯一負い目を感じている事が一つだけあった。
義兄―としてしまっているだけなのだが―メッツェティーノと出会ってしまったことだ。

偶然にもプリチネッラを見つけたのはメッツェティーノで、彼は10代半ばにして既に音楽の才能があった事、彼もプリチネッラと同じく親が既にいなかったこと、そして、彼が人並みはずれて優しかったこと。
その後、起きるとある事への下準備―メッツェティーノが不幸になる下準備。

「他愛の無い、話だね」

いつも前髪で塞がっている髪を手で軽く持ち上げると、久しぶりに色鮮やかな景色が見えた。
隣りの女性がほう、と短く呟いた気がした。

Re:Nocturne.
DATE: 2009/01/01(木)   CATEGORY: 店主の宝物庫
最初の願掛け。
いつでもぼんやり眼に、ゆるく髪先だけ巻かれた髪の女性はズルズル、と雑煮を食べていた。

目の前には1月1日というのに、家族はどうしてきたのか妹が満足そうにその光景を見ているし。

「・・・・・・あっちはいいの?」
「いいの、姉さん迎えにきた序でにお雑煮を作っただけだから」

なるほど、と女性は一人ごちて行かなきゃ駄目なのか、と尋ねた。

「当たり前じゃない、こういう時でないと姉さん帰らないからお父さんもお母さんも心配しているのよ?」
「・・・・・実感無いなあ・・」
「親孝行だと思って行っちゃえばいいのよ」
「親孝行、ね」

ズルリ、とよく伸びる餅を食べながら呟いていると、あっ、そうそうと言って妹が自分の分を持ってきた。

「それに、たまには私の子供とも遊んであげて。そしたら私凄く大助かり。妹孝行も出来るでしょう。」
「・・・・普通姉孝行とかなんじゃ?」
「だから、ほらこうやってお雑煮とかつくりに来ているでしょう?凄く姉孝行してるわよ、私」

そう言われてみれば、確かにされている。ううん、と自分の中で少し悩んだ。

何しろ、来年・・いや今年か、今年に新作を出さなければならないのだが、ちょっと前にあった司書の男の子をモチーフにした話にしようと思っていたのでそれのプロットやら、なにやらをまとめて作ろうと思ったのだが。

でも、姉孝行されているのも事実だし。親孝行も妹孝行もしなきゃならない。

「・・・・・、私もしかして孝行相手が多すぎるんじゃ」
「今さら気付いたの?姉さん」
「さすがに仕事はもっていけないわよね」
「多分、チビッコたちのいいおもちゃにされちゃうわよ?」

「・・・・・分かった分かった、今日は孝行する日にするわ」

その言葉を聞いて妹はニコリ、と微笑んでやった!と両手を挙げて喜んだ。

「それでこそ、姉さん。もしかしたら、インスピをえられるかもしれないわ、なんたって姉さんが孝行する日なんだから!」

Re;a nice day!
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