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DATE: 2009/07/31(金)   CATEGORY: 店主の宝物庫
久。
―誰かの不幸をあざ笑うなら、君はそれほどに不幸ではないのだろう。


てってってっ、小さな足音が響く。

てってってっ、やんわりとした、小さな足音。

ずっずっずっ、布キレを引きずるように廊下を歩く音。

そして何かに耐えかねるように、周りのものが一斉にギシリッと軋んだ。


がばっと音がつきそうなほどの勢いで、やっと美里は起きた。

周りを素早く左右に見渡したが物が動いた形跡も、ましてや誰かが歩いている音さえもしなかった。

夢だったのか、と思い壁に掛かった時計を見れば朝の6時と自分ではかつて無いほどに早起きだった。はあ、とため息を漏らしてやっと美里は布団から出ることを決めた。

座敷に行ってみれば、トントンと包丁の小気味いい音がしている事から母が朝飯を作っていることが分かり、調理場へ行く。

「おはようございます」
美里がそう挨拶をすると、母は少し驚いた顔をしていた。
「おはよう、美里。珍しいのね、寝つきが悪かったの?」
そんな母の言葉に自分でも苦笑せざるをえなくて、尋ねる。

「そんな所です・・、何か手伝えることは?」

「あら、じゃあ新聞を取ってきて頂戴な」

「新聞?今時分にくるんですか?」
早いものだな、と驚いて言うと母はくすくすと笑いながらも卵焼きを器用に作っていた。

「そうなの、取ってきたら机の上に置いて顔でも洗っていらっしゃいな」
「・・・分かりました」

頷いて部屋を出ると同時に、きしきしっと又寝床で感じたような存在する物全てが軋むような音が聞こえた。

「・・・・、なんだ?」

てっ、 余りにも短い、地を蹴るような、小さな足音が、

「・・・っ?!」
音の方向を向くと何かは判らなかったがその余りにも小さな足音と共に風が、轟いた。

がっ、 急な突風に美里は真後ろにすっ転んだ。
「痛ッ!」

美里の反転した光景の中で、白の着物を被った何かが立っていたのを美里は見た。

叫ぶ事すらも忘れてしまった美里がまず思ったのは、喰われる、ということだった。

逃げねばと思ったが立てない。ただ自分が臆しているだけなのかはわからないが強烈な恐れだけはあった。ああ、どうしよう。

能面がこちらの眼を覗き込むようにした瞬間、 「兄さん?」    

光也の声がした。すると、その能面はすすっと眼から遠ざかり消えた。

「もう兄さん・・そんな所で寝転がっていると風邪を引きますよ」
腰に両手を当てて仁王立ちしている妹に、美里は心からの感謝をした。

Re:It is time from place to place.
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DATE: 2009/07/29(水)   CATEGORY: 店主の宝物庫
主人公メッセージ。
草の独特の匂いと、雨の降った後のような土の匂いに彼女―アルチェは起こされた。

周りを見渡してみると今いる場所が家から少し離れた場所にある公園のだと分かった。

少し悩んでみて要件を思い出し、彼女はそこから立って目的地に歩みだした。

アルチェのあだ名にとある物語の主人公の少女のあだ名がある。

自分にはとても似合わない、というより似ても似つかない性格の主人公のあだ名で呼ばれるたびに彼女は友達に似合わないと言われる。友達ならまだしも母までも似合わないと無表情に言う。

だが、母の弟でアルチェにとって叔父に当たる人物は似合っていると言った。

そんな叔父の仕事場は、どうも強盗か何かが入った後のようにいつもすさんでいた。

最初にその仕事場へ入ったときに警察に電話しようか迷ったが、ここがその警察でその部屋の持ち主は警察官なのだから始末に終えなかった。そして、その光景はあまり変化を見せない。

「いつも思うんだけれど」
持ってきたおやつをもりもりと食べながら話す。

「掃除はしないの?」
「しようと思っているよ、これでもね」
ドーナッツとブラックコーヒーを交互に食べながら叔父さんは自分の周りの景色を眺めた。

「・・ダウト」
「むう、バレたか・・」

私が夢見がちにならない理由は、嘘が分かるという特技があった。そのためか、よく人の言う言葉の端々に掛かる嘘が手に取るように分かり、軽い人間不信のようなものになった。

たったそれだけの単純な話。

「そういえば、さっき変な夢を見た」
「変な夢?」
「うん、さっき公園で寝てたみたいなんだけど・・・そのときに見たの」
「通りで、少し遅刻していた訳か」
「それを言われるとなんともいえないけど・・・」
「ははっ冗談だ。それで、その変な夢って言うのは?」

「・・・・・夢を見た、って感覚はあるけど夢の内容は覚えてない」

そういうと叔父さんはガックリとして
「おいおい、それじゃあなんで変な夢なんだ?」
「・・母さんが、」
「姉さん?」
「うん、母さんと話してるような・・・・そんな夢みたいな気がする」

そういうと叔父さんがにこりと笑って頭をなでた。

Re:I cannot measure the distance with the person.
DATE: 2009/07/28(火)   CATEGORY: 店主の宝物庫
これにて一事終幕。
―たった一つだけある正解は、誰から語られるのだろうか。

「まあ面白おかしく自己紹介も終わった事だし、本題に入るとしようか諸君?」
笑みを浮かべて目深帽子を被った帽子屋ことジズ・オールドマンは語り始めた。

「本題というか、再確認でしょう?」
双子の為にお茶を注いでいた三月兎ことハロルド・クーターは困ったように言う。

「まあ、そうとも言うかな?」
「そうとしか言わねえよ・・オッサン」
おどけていった帽子屋にあきれ果てるように眠り鼠ことカフィ・ドルテが言い放つ。

「あの・・本題は?」
再確認の要因となった私、アルチェが帽子屋のおじさんに尋ねた。

「じゃあ話を戻そう、先ほど言ったとおりお嬢さんを含めて我々も穴に落ちた・・いわば被害者団体なんだ。でも、穴に落ちるまで我々は穴の存在には気付かなかった」
「言い方悪くしちゃったら」
「大馬鹿の集団ってことだね」
クッキーを食べていたフラット・ダクティと紅茶を飲んでいたネストラ・ダクティがけろりといいあげる。

「手痛いな、まあ事実・・そうなんだが誰が何のためにこの穴を掘ったのかも、どこに出口があるのかも今の所判らない。おまけに言えば、ここは地上とはどうやら時間間隔まで違うらしいんだ。」
「・・・時間まで、ですか?」
それには驚いて半音上がったような声をあげてしまう。

「お嬢さんがやってくる前に我々もどうにか出口を探したり、色々試したんだが何処にも出口は無かった。で、どうやってここから出ようか考えてながら紅茶やお菓子を食べてたら空になった。」
「まあ、限りがありますからね・・」
皿にはたくさんの種類の菓子が乗っかっていて枚数も多いが、大人数だ。

「そうすると、ふっと一瞬皿が消えて次の瞬間には新しいのが現れた」
「・・・・マジックの類ですか?」
夢の無い事を言う私を双子と眠り鼠が凝視した。

「・・・・ああ、夢の無い事を言ってすみません」
「お姉さん、大物だよ」
紅茶を飲んでいたからネストラの方だろうか、呆れたように告げる。

「お嬢さんの発言に胸をはって違うとは言い切れないまでも、やはり出口は見つからなくて我々は何というか・・自暴自棄に駆られてね、お互いの世間話をしあったんだ。」
帽子屋のおじさんが照れくさそうに言うと私とおじさん以外の全員が違う方向を向いた。

「それで?」
「おや、つっこまないんだね・・とと、ハートの女王そんなに睨まないでくれ。実は何となしに始めた世間話だったんだがこれが結果的には良かったんだ」
「というと?」
「全員がお互いの話をし終えると、我々はそれぞれ元の場所に戻っていた」
「・・・・ミラクルですか?」
「いやいや、最初の時は私もそう考えたんだが実はこれが戻る為の鍵だったらしい。上に戻る為には、全員の世間話もしくは近況を全て話さなければならない・・そして、もし一つでもその話に漏れている部分があればその話は仕切りなおし、で時間も倍かかるみたいだね」

「話からして検証されたんですか?」
「というか、検証されざるをえなかったという感じですね」
三月兎が冷静にそう言い双子が元凶ですよ、と告げた。

「仕方ないじゃないか、僕らはせっせと母様や父様のご希望通りの良い子になる為の勉強やらスポーツやら礼儀やらで忙しかったんだから」
「まあ実験検証済みで、それと僕らは上に戻ると自分が何処に行っていたか忘れるようです。」
「厄介穴」
シィーン・プラメイことハートの女王が手短に言った。

「あ、それとだねお嬢さん」
「はい」
「我々は穴を出るとどうやら道すがらにあっても何処の誰かわからないみたいなんだ。」
「・・上であっている可能性もあるってことですか?」
「そう、で、上に戻ると”穴の中のお茶会”の記憶は抜けるみたいだから、それを忘れず・・って言っても、忘れてしまう事なんだけどね!」
「何で今、そんなことを?」
不思議に思って聞いてみると、帽子屋は目深帽子を被りなおして一言。

「戻る時間だから、さ」

Re:returen time next see you
DATE: 2009/07/26(日)   CATEGORY: 店主の宝物庫
陽だまり閲覧会。
今晩和、桂月です・・・!

一昨日くらいにやっと学校の課題が終わりました・・・・!自由です!けど、明日もなんか低気圧が九州付近に上陸するとか何とかで九州のチビッコにせめて1日くらいまともな夏休みを天気は与えてくれないのかと。

ちなみに私の市立図書館にいきたいと言う願いはこのままだと盆休みに突入してしまう可能性が高いのですが、晴れませんか九州の空。

そういえば今私の心の中でエレメントハンターがアツイです・・!!

N○kで土曜日午後6時から放送されているんですけども・・・!!

元素が次々に消失するという不思議な出来事が起こる未来の地球が舞台なんですが・・

1話を普通に落乱の後にOPが始まって、へー(゜∇゜ とか思って見てたら案の定ですよ?!嵌りました・・怖い怖い!!n○k作品最近怖いよww

日韓共同作品らしいですよ。とてもいい出来栄えな感じがしていて毎週楽しみにしてます。

今週からビデオ撮ったので、今週の分のを狂ったように見てます。((←母の言葉。

EDの歌を覚えれたら受験生最強なんじゃないカナとか密かに思ってます。

Vジャンにて漫画連載もスタートされているらしいんですよ・・けど、付録とかついててビニールテープに阻止されて立ち読みが・・!!くそぅ!

キアラ嬢がどうもえヴぁのアスカに見えてしまうのは何故だろう・・・色合いかな?

まだ4話目なので・・来週からでも是非!インターネットで無料配信とかやっているらしいので、そちらも活用されて見ていただきたいです!!

個人的にトムとユノは最強だと思っています。

来週は予告からしてもう、絶対録画だと思いました。来週落ち着いてテレビの前に立っているかわからないww

あ、後昨日久しぶりにナナドラをやりました!本編を進めようとしていたはずなのに何故だか脱線しました!

剣帝の称号を得るべく氷洞で修行している真っ最中です・・LVがやっと61になりました。

すごい、久しぶりにやったので表示の仕方すらわかりませんでした・・・アウチチチ。

とりあえず、クリアだけでもしたいな・・。
DATE: 2009/07/25(土)   CATEGORY: 店主の宝物庫
いつか、を待っている。
今日和、桂月です。

なにやら昨日竜巻とかがこっちの地方では出没したらしいんですが・・・竜巻なんてアメリカかよΣ( ̄ロ ̄lll) と思った私が居ました。アメリカのとある地域では出没しやすいらしいです。

雷や雨がどんどこ降っていて遊びにいけるにいけない状況で、最近の運の悪さを呪いたくなります。

話に入れた”虹”なんですけど、色々場所によって解釈の違いってのがあるみたいです。

どこかでは、不吉の象徴だったり・・どこかでは、幸運の象徴だったり。

友達がこの前大きな虹を写した奴を見せてくれました・・すっごい綺麗だったんですよ!

昔見たので月に虹が薄く掛かってたのを見たことがあるんですけど・・あれはありえる現象だったんだろうか・・と今さらに思ってます。

あとかなり今さらな話なんですが、某「決闘だ!」のアニメが面白いじゃないかと思ってみてます・・。

何あれ何あれo(*'-'*o)

社長と彗星さんに何かを打ち抜かれました。((おい。 両方タイプが似てる・・。

すごくすごくお勧め。

そういや、絶/望先/生 懺 が7月の何時からかは分かりませんでしたが、始まってたんですよね!

相変わらず毒々しいOPです・・!1話の内容は半端無かったです(笑)

1~3話の後編にある「晒し/が丘」に一番ツボっている自分が居ます。

千里ちゃんを前にしての山手線ゲームは駄目だろwwしかも赤いものってw

いや・・本気で爆笑できるので、見れる方はどうぞです。

それでは、お粗末様でした( *・ω・)ノ
DATE: 2009/07/22(水)   CATEGORY: 店主の宝物庫
実に奇怪な茶会。
好奇心が猫をも殺してしまうなら、好奇心に勝てるのは一体何だろう。

「ここは、やはりお嬢さんから自己紹介を頼んでも?」
目深帽子を被ったおじさんはにこやかな雰囲気を纏って私に話した。
「・・・・はあ、アルチェといいます、ここへは自分から飛び込みました」
あくまで真実を話したのだが、一変して茶会の面々の顔が凍った。あれ?

「自ら・・飛び込んだ?」
「自己過失」
目つきの悪い男性が唖然とし黒髪の赤いドレスの女性は驚きに満ちた様子でポツリと喋った。

自分で飛び込むのはありえないことだったらしく目深帽子のおじさんに目を向ければ。

「ん?ああ、彼らが驚くのは無理も無いんだ。我々は”穴”の存在にすら気付けなかったんだ。」
「そうなんですか?」
「おそらく認識できたのはお嬢さんが初めてだろうね。ああ、アルチェか。・・・ややこしいから、ここでは役柄で呼ぶけども構わないかな?」
「どうぞ、ご自由に―」
「ははっ、では自由にするとしよう。次は―”三月兎”」
おそらく役柄を呼ぶと、最初からにこやかな微笑をしていた青年が紅茶を飲むのを止めた。

「初めまして、アルチェ。”三月兎”のハロルド・クーターです。上では脚本家をしています」
「今、超売れっ子らしいんだ」
こそり、とおじさんが囁いたが、何しろ劇なんて観に行った事が無いのでわからなかった。

「次、”ハートの女王”」
むくりという音が出そうなほどに、黒髪に赤色のドレスを着た女性が顔をあげた。

「”ハートの女王”、シィーン・プラメイ、花屋」
「今の私の目標を教えてあげよう、彼女と話をする事なんだ」
「お互いに成り立ってないから諦めたら?」
「帽子屋と女王の会話の始まりと終わりが見えないね」

がくりと肩を竦めておじさんは品の良さそうな少年達を見る。
「じゃあ、そのまま”ハンプティ・ダンプティ”」

「僕がフラット・ダクティ」
「で、僕がネストラ・ダクティ、どっちも上じゃ学校に通ってるから・・パスだね」
「見分け方は正直本人達に直談判で聞いた方がいい」
成る程、と心の中で相槌を打っておく。

「では”眠り鼠”」
目つきの悪い男性がシュークリームを手に掴んだままギロリと睨んだ。
「・・・・カフィ・ドルテ、パティシエだ」
「意外だろ?」
「・・・・いや、そうでもないような・・?」
ぎこちなく言って見せると、ハッといってそっぽを向かれた。

「で、最後に私。”帽子屋”のジズ・オールドマンだ。どうぞ、この奇怪な茶会が終わるまで、仲良くいこうとしよう!!」

頭の中で異様に大きなクラッカーがはじけた。

Re:powerfull/hampty dampty
DATE: 2009/07/20(月)   CATEGORY: 店主の宝物庫
事情聴取という名の幕開け。
好奇心は猫をも殺す、ということわざがある。このことわざは私にピッタリだと昔から思っている。

どうしてそんなことわざを思い出しているかそれは好奇心に駆られ目の前の穴に気付いたのに飛び込んだ自分はまさにそれだろうと思えてきたから。

「ねえ、兄弟お姉さんは何役を貰ったんだろうね」
「そうだね兄弟、帽子屋教えてよ、知ってるんでしょ」
品の良さそうな少年達は帽子屋と呼んだ目深帽子を被ったおじさんに命令口調で言った。

帽子屋は肩を竦め何も加えていないコーヒーを飲みながら答える。
「おそらくアリスって辺りじゃないだろうかね?」
「・・・・・・・好奇心少女」
黒い髪に赤色のドレスを纏った女性が悲しそうに告げる。

「主役か・・・中々に面倒な役を引いたな、お前」
コーヒーにミルクや砂糖を大量に加える目つきの悪い男性が心から哀れむという具合に言う。

「・・・・何がなにやら?」
そういうとにこりと微笑みながら青年が答える。

「実はですね、我々は貴方と同じように穴に落っこちた・・いわば被害者のような物なんです。」

「そう、それでいて我々は今まで会ったことも喋った事も無い赤の他人からスタートした訳だ」
目深帽子のおじさんが台詞を横取りした為か、青年は僕が説明しているじゃないですかと反論するとおじさんはすまないといい、そのまま喋る。

「当初出口を探していたんだがこれが全く見つからない。どうしたものか、と悩み机に置いてある紅茶やら菓子やらを食べていたら・・不思議な事に全てが空になると一瞬のうちにまた戻る」

「不思議ですね」
「だろう?何故だろうか、と頭を捻って考えた結果誰かがあの穴を掘り何処からか手品の如くお菓子などを出現させている・・としても、目的は何だろう?穴に落ちた奴等をあざける為?身代金目的?」

立て続けに喋り続けた結果喉が渇いたらしくコーヒーを啜る。

「答えは、ノー。生憎とこの中に裕福な人間はいない。ああ、そこの少年達は置いといて。程なくすれば心配した家族や友人が警察に駆け込むのは目に見えている・・・じゃあ、どうして?」
「・・・・・・、さあ?」

「お嬢さん。これはね物語なのさ。」
「物語・・、知らない人間同士で?」
「そんなものだよ物語はね。落とした主の本心は知らないが、ここにいる人間たちで何かをさせようとしているのは事実だし帰ろうにもある条件が満たされないと我々は帰れない。」
「ある条件」
「そう、ある条件」
「ある条件だよね、兄弟」
「ある条件だとも、兄弟」

「そして、お嬢さんはその物語の主人公たるアリスに抜擢された訳だ」
「・・・光栄ですと言った方が?」
「まあお嬢さんにそれは任せよう」

「・・・私の役柄はわかったんですけど、他の方は?」
「おおそうだね。なら、役柄と一緒に条件も満たしてしまおう。そうしたら一石二鳥だからね」
「よろしくお願いします?」
「ははっ!」

Re:gentleman//hatter  ((←紳士//帽子屋
DATE: 2009/07/19(日)   CATEGORY: 店主の宝物庫
私のアリス。
アリスは落ちていた、静かに静かに、下を見ても終わりの見えない真っ暗闇の穴の中を。

最初穴に落ちてしまった時は混乱してしまったが、次第になれてきて歌でも歌ってやろうかと考えていたが、もし歌っている最中にどしんと到着したら舌を噛み切ってしまいそうで怖かったので止めた。

けれど、今もこんな風に考えている事から先ほど歌って置けばよかったなという思いと今からでも遅くないから歌ってしまおうかと言う思いがあった。

こんなに呑気でいるのもどうかという考えは一切無かった。うーんと考え続けていると。

「受身を取りたまえ、お嬢さん」
そんな声が聞こえた次の瞬間、じんわりとした痛みと共に私は地上にやっと着いた。

「痛い・・」
「だから、受身を取りなさいといったじゃないか。ああ、泥だらけ」
うめいていると、目深帽子を被ったおじさんが背中についた泥を叩いていた。

「・・・・・どちら?」
「それを言わせれば私もその質問を返さなければならなくなるんだが・・、まあ着いて来たまえ。我々の仲間がいるから」
「仲間・・・?」
「そう、仲間。間抜けにもこの落とし穴に落ちた大間抜けの一行だよ」

少し歩くとランプが何個か並べられお菓子を置いた皿やら紅茶にコーヒーなどの飲み物が並べられた縦長の長机とそれに座る面々が見えた。

「あ、帽子屋が帰って来た」
「本当だ、帽子屋が帰ってきてしまったよ」
口々に品の良さそうな少年達が言う。

「・・・・帰ってこなきゃ良かったのに」
ポツリと呟いたのは、黒い髪に赤色のドレスと言ういでたちの女性。

「でも帰ってこなければこの茶番の人員を又待ち続けなければいけない」
コーヒーに大量に砂糖とミルクを投入する目つきの悪い男性が憎々しげに言う。

「そういうことですね」
にこりと微笑みながらお菓子を取り口に運ぶ青年。

「酷い言われ様だろ?」
おじさんは肩を竦めて言う。ふむ、と観察しながら言いたい事を口にする。

「怪しい茶会ですね」
そういうと、だんっと目つきの悪い男性は机を叩いてこちらを睨んだ。

「誰も参加したくてこんな怪しい茶会にいる訳じゃない!」
「・・・・・巻き込まれ茶会」
女性がポツリと悲しそうにミルクティーのカップを眺めながら漏らした。

「・・・・・、もしかしてのもしかしてで皆さんあの落とし穴にはまって此処に着たんですか」
「そういうことだよ、物分りがいいこだね」
おじさんがにこりと目深帽子で表情が伺えないながらも自分を褒めた。

「嫌でもわかるような気が、でお帰りの際のはしごは何処です?」
「それは時間が経てば現れますよ、あちらの時間で言えば1週間ほどですね」
にこりと青年は微笑んで言う。品の良さそうな少年達がクッキーをほおばりながら

「飢え死にするって事はありえないから」
「大丈夫だよ、新しいお客のお姉さん」

この面々を見てアリスはとんでもない穴へ落ちたような気がした。

Re:calm//alice
DATE: 2009/07/16(木)   CATEGORY: 店主の宝物庫
ジーニアス・プロフェッサー
―許可なんて取らなくてもいいよ、そのバラッドは元々あなたにささげたものだから。

手にとった一冊が人生を変えた、もしくは何か劇的な要素が自分の人生を変えることとはよくあることなのか、それは良く判らない。何しろ、専門外だからだ。

本気になれば、調べようとする事も出来るだろうがその境界線まで興味が足を踏み入れていないがためにこの行為は自分の中で削除された。

久しぶりに休みが取れたために大学の近くにある図書館としてはかなり大きな方のところへ足を運んだ。

いい本に出会えそうな気がする。



自分の教え子に良く言われる事として、同じ本をずっと読んでて飽きないのか。ネクタイを結べる本があったら絶対あげます。が挙げられる。後者はこの話に全く関係の無い物だが。

そうなのだ、自分は同じ本をずっと読んでいる。飽きないのか、と聞かれれば飽きたと答える。

それは又可笑しいと聞いた張本人は興味ありげにいい、次いで、飽きたならなんで又同じ本を新しく買うんです?と尋ねた。

その時自分はその尋ねてきた張本人の学生から貰ったお菓子をポリポリと食べていた。

何故だか、その学生の持ってくる菓子類ははずれが無いように思えた。自分が運がないだけなのかもしれない。

ああ、脱線した。講義だとこんな風には成らないのに。

自分にとって、その本は格別に特別な物だった。入れ込まれた、というより自分が元からそこの住人であったような親近感を覚えた。そして、その本を読み終えて気づいた事が一つ。

この作者は、自分と同類なのだ、と。

親近感を覚えたのも、この本を手にとったのも、訳知れぬ運命だとかそう云うものじゃない。

あの学生風に言うなら。

「自分の直感・・か、それこそ不可思議だ」
ポツリと呟いて、迷路屋敷のような図書館をさまよう。


『・・・楠本先輩、教授がいらっしゃらないんですけど』
『うん?うん・・』
『寝ぼけてますね、・・・講義かな』
『あれ、梔、何時の間に。透明になる技でも覚えたの?』
『もう一回寝ることをお勧めします』

Re:because it is my song
DATE: 2009/07/11(土)   CATEGORY: 店主の宝物庫
仮想の世界で物事は進む。
―If you died,I am sad and will go to your place.

「テロメア?」

ウィリアムはある酒場の一角で最近知り合った剣士とともに食事をとっていた。

「そうテロメア。正しくは”最初の遺伝子”って奴なんだけが本当に知らないんだなあ」

その剣士は、自分よりも年上だったがおおらかな性格の持ち主でウィリアムは合って直ぐに打ち解けこうやって食事をとっていたのだが、彼はとある話をウィリアムに教えた。

「俺たちの頃は良くおふくろや親爺なんかに昔話で教えられたんだが・・、国同士のいざこざが多すぎて大方知っている人間が少なくなったって辺りだろうな・・」

「一度も聞いたこと無いです。テロメアなんて」
そうウィリアムが言うと、剣士はフォークで指したジャガイモをくるくると回した。

「テロメアは末端だとか、そういう意味があるんだがその脈絡から”最初の遺伝子”って呼ばれてるんだ。」
「”最初の遺伝子”?」

「そう、まあ世界っていっちゃ広いが・・その世界で最初にあったモノの遺伝子で、同時に最強の遺伝子らしいな。」
「・・最強」
感心したようにウィリアムが言うと剣士は尚更静かに頷く。

「でもってこれは家系的に続くんじゃなくってランダムらしい・・だから何処の国もこぞってこのテロメアの奴を探そうとするらしいんだが・・、たった2人だけだからなあ・・探すのも難しいし納得させるのも難しいだろ」

「確かに・・でも、なんでそんなにその人たちを探そうとするんですか?」
剣士は半ば呆れたようにガックリと肩を落としながらウィリアムを見た。

「いいか、ウィリアム?テロメアは最強なんだよ。話じゃあ、魔法も使えるって話だからな」
「魔法が・・ですか!?」

「ああ。だから、こぞって探す。まあどこかの国が見つけたって噂は今の所全く無いけどな!」
がははっと豪快に笑う剣士を見ながら、ウィリアムは不思議に思った。

「ここは探してないですよね?」
「探してねえな、まあアーサー王は暴君って言われる割には、いざこざはしないしおまけに他の国から追い出されてきた人間だって受け入れちまうでっかい器の持ち主だからなあ・・。俺がテロメアだったら真っ先に此処を住む場所に選ぶな!」

剣士はそう言って、席を立ち新しい酒を頼みに行った。

そこでようやくウィリアムは隣りにいる自分と最近判ったがアーサー王には見える”夜”を見た。

「魔法使いって本当にいるんだね、僕おとぎ話でしか聞いたこと無いや」
夜にそう言うと、夜は不思議そうにウィリアムを見て困ったように笑った。

「?どうしたの夜?」
そのまま夜は首を横に振ったがウィリアムは結局その夜の笑いの意味はわからなかった。

Re:ケルビム。
DATE: 2009/07/09(木)   CATEGORY: 店主の宝物庫
まな。
―彼方へと送るものは何かありますか?あるならどうぞ、彼らが届けてくれます。

”蜂探し”というのは、元々シャルロッテという男性が作った失せ物探しの屋号であった。

しかも、その失せ物探しの探索率は100%といってもよかった。

誰かが見つけれなかったものが、彼にかかれば容易く見つかる。

そして、彼は昔ながらの友人とともにその失せ物を探し見つけていたという。

蜂の如く飛び回り蜜を持ってホームへと帰り飛ぶ―まさしく蜂。

それが”蜂探し”の由縁だった。

「・・・・いわゆる街のお助け屋みたいな感じですね」
「なっ、シャルロッテの親爺を馬鹿にしてんじゃ・・・!」
イヴが素直に感想を言うとルーはイヴに食って掛かった。

「そう云うわけではないですけど、アーサーさんっぽいですよね。どことなく」
「褒め言葉か?それは褒め言葉か?」
「アーサーさん、平常心平常心」

イヴがそう言うとアーサーはイヴを睨みつけそれをテノーラが宥めた。

しかし、問題はそこからだった。
彼は仲間とともに失せ物探しという職業を楽しんでいた。が、そこから出来た情報網に裏関連の情報網も出来てしまった。

そして、彼らは何時の間にか武器の調達という仕事までもこなしていた。

シャルロッテは故郷である国の王に永久追放を言い渡され流れ流れで辿りついた国が「ここだったって訳ですか」

「そういうことだな。俺はシャルロッテが”蜂探し”を続けようが、続けまいが構わなかったし寧ろシャルロッテの望む”蜂探し”ってのは同じ場所に住む人々役に立ちたいって物だったし・・まあ無問題って奴だな」
「・・・あれ、それってこの人がさっきやってた事否定してません?」
「否定云々より、思想の違いって言うんじゃ?この場合」
「ああ成る程。シャルロッテさんが穏健的な考えで生業をやろうとしていたのに対して、こちらのルーさんは若干力任せだったと・・そんな感じですか?」

イヴが強烈な言葉の打撃をルーにくれてやった所でルーはダンッ!と机を叩いた。

「仕方ないだろう!シャルロッテの親爺は最近体が弱くなったけど若頭の俺なんかが急に上にたとうとすれば絶対になめられる、だから俺は噂を頼って、この人を仲間に入れようと思ったんだ!」
そして、ビシリッと指された先にはイヴニアラが居た訳だが彼女はため息をついた。

「だからお断りしたじゃないですか私はここの従業員なんです。だから無理です。」
そうきっぱりと言い切ったイヴの横でアーサーが顎に手を当てて何かを考えていた。

「アーサーさんそんなに顎を抑えていると顎がひょろ長くなりますよ」
「なるか!というかルーお前今あの爺の体が弱ったとかいったか?」
「そうですよ!!」
半ば逆切れ状態となっているルーを傍観者としてイヴとテノーラは見ていた。

「・・・・シャルロッテに騙されたな、ルー」
「はっ?」 
「シャルロッテが簡単に弱る訳が無いだろ。大方自分が生きてるうちに後継者でも決めるついでお前をからかおうって腹だろうな」
「もしくはそのついでの方が本題な気もしますけど」
「狸だからな、病気云々もあの爺が自分から言い出したんじゃないのか」

ルーが唖然としている所を見てアーサーは目の前の”蜂探し”の若頭を心底哀れに思った。

「テノーラ、俺につけて良いからこいつに何か今の虚しさを忘れられるような物食わしてやってくれ」
「こちらからもそうさせてもらいますよ」
「結局の所、働き損って奴なんですか?」

イヴの最後に行った言葉がルーを最終的にダウンさせた。

Re:fight younger bee !!
DATE: 2009/07/07(火)   CATEGORY: 店主の宝物庫
七夕目録。
―ふかいあおのりゅうがうろこをいちまいおっことしていきました。

ふかいあおのりゅうはそのことにもきづかずどこぞへきえました。

ふかいあおのりゅうのうろこはやがておおきなほしのかわになりました。

「っていうのが私の国の七夕のお話しなんです」
長く黒い髪を揺らしながら、エリオットはカウンター席で食事を取っていた。

「地域によって七夕の伝承はやっぱりマチマチですね」
そういって、空になったコップに飲み物をイヴニアラが継ぎ足してくれた。

「そうなんですか?」
「意外と、ですけどね。」
エリオットは心の中で、不思議だなあと思いながら飲み物を飲む。

「それにこの国にいるだけでも、結構な数の七夕の話が聞けますよ?」
はたとして、イヴニアラを見るとニコリと微笑みながら説明する。

「この国は元々アーサーさんが一から興した国ですからこの国独自のっていう七夕の話はありませんけど、代わりにいろんな国から人がこちらに移住しているので、たくさん伝承があるんです。」

「へえー・・じゃあそのいろんな国の七夕の伝承の話を劇にしたら面白そうですね!」
そう言うと今度はイヴニアラがはたとした。

「何か拙い事言っちゃいましたか・・・私」
「そうじゃなくて、フランシスさんにその事いってみるといいと思いますよ、エリオット」
「・・・?えと、どうして?」
「多分その話進みますよ。幸い七夕まで日にちが何日かありますから、稽古場に戻って直ぐにでも提案してみると良いんじゃないんでしょうか?」

「そういえばあなたの国の七夕のお話はどんなお話だったの?」
「・・私の居た、国ですか?」
「よければ参考に聞かせて」
そう言うと彼女はカウンターの窓から漏れる木漏れ日を見ながら紡いだ。

『あるところに王さまがいました。王さまはひとりぼっちでした。王さまはふらふらと名前もない土地にすみました。そこへあるとき、一人の若人がやってきて王さまを見て言いました。

「あなたはしあわせになりたいですか?」王様は答えました。「あなたがかなえてくださるのですか」若人は答えました。「わたしはまほうつかいですから」王様は答えました。「なら、あなたがしあわせになってください。それでわたしはまんぞくです」若人は不思議がって尋ねました。「おうさまはねがいごとがないのですか」王様は言いました。「いいえ、あります。けれど叶える事の出来ない願いなのです」若人は言いました。「そのねがいをおっしゃってください。かなえてさしあげます」王様は言いました。「なら、しんだあにたちをいきかえらせてください。」

若人は困りましたがしばらく考えて言いました。「いきかえらせることはまほうつかいでもむずかしいですが、あなたのあにうえたちがあなたのそばにいれるよう一日だけそらにあなたのあにうえたちのたましいをよびましょう。そうすれば、あなたはそらをみあげれば、あなたのあにうえたちはそらをみさげればあうことができます。」王様は言いました。「せいいっぱいのやさしさをありがとう。」』

「っていう話をエリオットにしたんです」
「・・その王と魔法使いが直ぐに思い浮かんだんだが大丈夫なのか?イヴ」
「まあ・・・・本人達も怒らないんじゃないですかねえ・・多分」
「・・多分、な」

七夕まで、あと3時間。
Re:one king and one whitherd
DATE: 2009/07/03(金)   CATEGORY: 店主の宝物庫
魔法使いは居なかった。
私にガラスの靴を持ってきた人は私を見たとき、とても嬉しそうな顔をしていた。

それこそずっと探していた人に会えたかのような。けれど私は王族ではないし、ましてやその人とどこかで昔会った事があるなんて思えなかった。

だからこそ、私はこの靴が履けてしまった時が憎らしくて仕様が無かった。

もう城は私が居なくなった事に気付いただろうかと思いながら彼女はガラスの靴を見つめた。何万回この行動をしたか彼女も良く判らない。はっきりといえるのはこれを自分の心のままに壊して良いのか。それだけだった。

確かに壊してしまえば私は自由になれる。けれどこれを持ってきてはまった時の心底嬉しそうな彼の笑顔が忘れられないのだ。そうしてまた、ガラスの靴を見遣っていると

「―わあお。綺麗な硝子細工の靴ですね!職人の心意気を感じます!」
明るい声が聞こえ振り向くと女性がひょこひょことこちらに近づいてきていた。

「・・・誰?」 私が訪ねると、彼女はその場で歌劇でも歌うみたいな調子で喋る。

「申し送れました。私は瑪瑙と言うんですが知り合いとはぐれてしまいまして・・いやーやっちゃった!」
困った感じが一切無いと言うのが多分笑いどころなんだと思う。

そうしていると、彼女は明るい雰囲気を撒き散らしながら喋る。
「それにしても本当に綺麗ですね。私は宝石物とか興味が無いんですけれど、コレは純粋に素晴らしいと思います」
「そんなに気に入ったのなら、差し上げるわ」
「・・?それは駄目ですよ」
「・・・どうして?」
「それは貴方のじゃないですか!」
至極当然と言う具合に彼女は言って見せた。私が微妙な表情をしていると、彼女は説明を始めた。

「これはガラスの靴ですよね?」
「ええ・・というか、そうよね?」
「専門的な知識は無いんですが多分そうです。で一つお尋ねしたいんですけどこれは貴方が靴屋さんに造ってくれと言って造ったものではないでよね?」

「当たり前よ・・私は最近までただの田舎娘だったんだもの」
「だったら尚更コレはあなたのものですよ。普通人の足ってのは個人でばらつきが出るものです。だから、新しい靴なんかを買うときはその人が行って確かめて履かなければ微妙に誤差が出る、けれど貴方のはすっぽりと、狂いも無く嵌っています」

彼女がまじまじと足を見たので私もつられて見た。

「簡単にいえば、将来こんな足になるんだろうと言う事を想定され念には念を入れられて造られた、一級品のオーダーメイド作品の靴だと言う事です。」

なら私は一体何なのか。ただの田舎娘に過ぎない私が、将来を想定されてまで念入りに作られた靴を履けている。それは―
DATE: 2009/07/01(水)   CATEGORY: 店主の宝物庫
スカイネスト。
Re:”空の巣”

空には何処か、翼ある獣でもいけないラインがあると聞きました。

じゃあそのラインは一体誰を其処から先へ行かせないために敷いた物なんでしょう。

空の色を反射して輝く自分の足元のガラスの靴を見て、私は又そんな思いに駆られました。

私はこの靴が嫌いでした。何もかも嫌いでした。

幸せというどうもずれてしまうものでは幸せは分からないのに彼は彼の幸せのはかりで私の幸せを計り、周りの人も己が幸せのはかりで私の幸せを計るのです。その原因となったのが、そのガラスの靴なのです。

「・・ああ嫌い大嫌いなんでガラスなのにアッサリ壊れないの容易く割れれば良いじゃない」
私はガラスの靴に対しての呪いの言葉を吐き出しながら、空を又見上げました。

空だけは好きでした。あのやけに高く広い城の中で残りの半生を過ごさねば成らないと思えても、空があれば私は苦悩を半減できました。

「・・とりになればよかった」
ぽつりと呟いた言葉を拾ってくれる人が私の隣りには生憎と居ませんでした。

いいえ、叶えてくれる魔法使いのような存在が私の物語には最初から居なかった、ただそれだけのことでした。それだけのことなのに、私はとてもー

「虚しいと?他人が見ればかなりの幸せを貴方は手に入れています。あなたのその「役柄」を代わりたい人間は何処にでも居ますよ。貴方と違ってその『役柄』にも完璧に適合して見せてくれる方が」

何時の間にか居た蜻蛉に薄く淡々とした物言いの人を私は見た。彼は確か城に1ヶ月前に来た人だったか。

「・・・・連れ戻しにでもこられたんですか」
「あそこから出てゆきたいのであれば貴方のご自由に。所詮誰かに狂わされようとこれは貴方の人生ですから」

その呆気ない物言いに驚いた私は、独り言を話した。

「知っていますか?空には鳥でも決して越えられない高さがあるんですよ」
彼の眼は動いては居ない。じっとどこかを眼で固定して見ている。私にはそう見えました。

「なら、どうしてわざわざ鳥のように空を飛べる獣が産まれたんでしょう」
出来うるなら私も、鳥になって飛んで、最後に―

「なりたいのですか、鳥に」
次に私がかの人を見たときにかの人の目は私を捕らえていました。

「・・・なれ得る物なら」
「そうですか、なら」
「なら―?」
「どうぞ、その靴を壊して貴方が飛べる最大限の場所へ、いかれてみては?」
「・・・これは壊れません」
「壊れますよ、貴方が本当にあの幸せが嫌いなら。」

きらりと独特の輝きを見せたガラスの靴に少し目をやっている間に、彼はどこかへと消えていた。

蜃気楼のようだった。すっ、と私は又ガラスの靴へと目を向ける。すうと息を吸い込んで、私は。
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