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DATE: 2009/11/13(金)   CATEGORY: 店主の宝物庫
とある狐の物語。
―何を話そう、何を語ろう、何を貴方に伝えよう。

かろん、と下駄を鳴らして赤く目を晴らしたそれはやけにはかない。

石畳にぶつかると、下駄は自然と音が鳴る。からん、からん、と周囲を見渡すように、その光景を忘れないようにそれは見ていた。自分がずっと居た場所を。

「―・・・、うん、頼むね、目羽」
そういう先には、長髪に羽の髪飾りをして右腕には腕時計をつけた青年が立っていた。

「・・?どうしてそんなに仏頂面なの?」
「毎回こんなんなんだよ。」
「・・、別れるのが辛くなるから?」

図星といわんばかりに目羽は顔を俯く。

「大丈夫、私は君ともつながっている。名を呼んでくれたら、きっと現れる。それだけは約束する。」
「・・、あんたは行方の”記憶”を飛ばした原因が何だか知ってるのか?」
目羽がそう尋ねると、九重は顔を曇らせた。

「曖昧、なんだ。けれどこれだけははっきりいえる。もしそれとであったなら目羽お逃げ。何があっても、逃げる事を選ぶんだよ。間違っても、それから行方の残りの”記憶”を取り戻そう何てしちゃいけない」

「・・それは―」

ぽうっと、九重がほたるのように一つ、一つ、けぶりだした。

「”星”空―あの時も、六と別れたあの時もこんな風に星が煌いてた・・。」
それにつられて目羽は夜空を見た。きらびやかな星が輝き、星座にも取られる星がこの中にあるのだろう。

「また、会おう。目羽。そして、心よりの感謝を君と行方に―」
「嗚呼、安心して帰ってくれよ。」
そう言うと、にこりと九重が笑った気がした。

主が居なくなった神社は不思議なまでにしんとしていた。

そして、目羽は帰るかと思い足を一歩踏み出した。すると。

「随分とお優しい事をするんだねえ―」
子供のように無邪気であり、老人のように老獪な声が届いた。周囲には誰もいない。

「ふふっ、今は未だ見えないよ。けど、頑張ってるみたいだから、努力賞を上げようと思って」

「君と、彼に」

「・・彼?誰の事だっ?!」

「決まってるじゃないか―記憶を奪われて、自分が何なのかも思い出せず、いとおしい母の思い出さえ一事はなくなった、彼」
「―行方・・・・なんでお前がそれをっ!?」

「なんでだろうねえ、けど君は間違いなく一歩進んだ。彼も一歩進んだ。誇りに思って良いよ。まあ、それが良いか悪いかは、未だ不明だけどね。それじゃあね。」

「なっ、待―!!っ!!」
追いかけようとした瞬間、頭の中で光が内側から弾けた。

そして、うるさいまでに鳴り響いていたあの歌が消えた。

それに気づくまで―いや、起きるまで目羽は少しの時間を要する事になる。

Re;wait the coming time
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