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DATE: 2010/07/08(木)   CATEGORY: 店主の宝物庫
人見知りの一つ目の願い事。
「父上、入ります」
どうやら奥間に着いていたらしくカマカブトが襖に手をやる。襖には小高い山と一つの家、それらを囲むように険しそうな岩山が描かれてある、そして一番遠い所に華やかな町―だろうか、があった。

「リガキさん?」
イナバに呼ばれてリガキははっとした。

「大丈夫だよ。」
中に入ると大人数にも関わらずそれすら気にさせない広さだった。

「ようこそ、リガキ殿。我が雲隠れの居城へ。」
細面の老人が座布団の上に座りにこやかに微笑んだ。

「皆も久しく、」
「お父様もお変わりなきご様子で。」
ウロコアンが薄い笑みを貼り付けてそう言った。

「隠居とはそう言うものだよ、ウロコアン。さて、リガキ殿お呼び立てした理由をお話しせねばなりませぬな。」
「はい、」
「キミシカ、あれを」
ミツヨシ老はキミシカにそう言うとキミシカは頷いて席を立った。

「リガキ殿は”三枚の札”の話をご存知だろうか?」
「はい。山姥の住む山に栗を拾いに行くといった小坊主に和尚が渡した、あの札ですね。」
ほほほ、とミツヨシ老は笑って頷いた。

「そう。そしてそれは我が家に在る。」
「、え?」
「まあ、真偽の程はこの老いぼれにはわかりませぬ。しかしミツヤの”成人の儀”に必要なのは確かでございますから。」
「・・・成人の儀?」
リガキは首を傾げた。

「はい。リガキ殿にご相談したいと言うことも実はこれなのです。ミツヤの成人する者は”三練”という儀をしなければなりません。ですが・・弱った事に今年の成人は三人なのです、リガキ殿。」
「え?」
それは、確立として言えば低いんじゃないだろうか。

「いえね、成人を迎えるのはとても目出度い事です。しかし、この儀は一回で三枚を使うのです。」
「・・・日付をずらして行なうというのは、どうでしょうか?」
「日にちや段取りも決まり事で決まっておりまして。」

「枚数から察して三つの儀式があると考えて宜しいでしょうか?」
「その通りでございます。」
からからと笑うミツヨシ老、リガキは後ろに居るミツヨシ老の子供であるカマカブトやトビシマ、ウロコアンが何故家に戻らなければいけなくなったか、そして何故子供たちも一緒なのか理由がはっきりとした。

「ならお一人に一枚、そして一つの儀式にお一人が担当されるというのは?」
「もし一人が失敗したら?」

ミシリ、と空気が沈んだような気がした。その場の空気なのか、それとも彼の言葉の重みなのか。

「弊害があるんでしょうか?」
「弊害、と言えるのか分かりませんが一応成人の儀を受けた者にはミツヤを継ぐ事を許す事になっております。」
「ならその方を除いたという方法くらいでは無いでしょうか。それなら他の方に遠慮はいりませんし。」
我ながら冷たいことを言う、とリガキは思った。

「では―、そう致すと致します。」
とすん、と音がしたのに振り返るとキミシカが黒塗りの箱を持ってやって来た。

カマカブトとウロコアンは箱を敵のように睨んでいた。

「旦那様、」
「おお、リガキ殿。これが三枚の札でございます。」
かぱ、とミツヨシ老の手で開けられた箱の中には古びた札が三枚紅い布の上に綺麗に鎮座していた。

Re;To be able to tell who it is.
((↑誰かと話せますように。
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